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批判殺到の「入管法改正」 法案の是非論で「中身」が置き去りにされている

2018/12/19

 改正出入国管理法が12月8日未明に参議院本会議で可決、成立した。この法案は外国人に対する在留資格にさらに2つの資格を新設するものである。具体的には特定技能1号という、「一定の知識、経験を要する業務に就く人材」に対して日本語試験と簡単な技能試験を施すことによって認める資格で、最長5年の在留が認められる。また特定技能2号として、「熟練した技能が必要な業務に就く人材」に対しては在留期間更新を認め、家族の帯同も許可するというものだ。

"徹夜国会”のなか可決された ©AFLO

 この資格の新設はこれまでの外国人技能実習制度を、形を変えて大幅に規制を緩和するものだということで野党からの厳しい追及が行われてメディアを賑わした。また与党の準備した資料が正確さを欠くばかりでなく、来年4月からの実施を優先して、極端に審議時間を少なくしたことから大変評判の悪い顛末となった。

 こうした事態に対して、野党もメディアもややエキセントリックな批判が相次いでいるが、一歩引いて現在日本に在留する外国人はどの程度いるのかに目を向けてみよう。

いまや農業に従事する人よりも多い在留外国人

 法務省「在留外国人統計」によれば2017年の在留外国人数は256万人を数える。国内の農業就業人口は同年で182万人、つまり今や農業に従事する人よりも在留外国人のほうが、人口が多いというのが実態である。

 さて、この256万人の在留外国人はどんな人たちなのだろうか。

 まず国籍別にみると中国が73万人でトップ、続いて韓国45万人、ベトナムとフィリピンがそれぞれ26万人、ブラジル19万人の順になる。

 在留外国人の数は近年急増しているという感覚になりやすいが、実はそうでもない。2000年から2010年までは45万人の増加であるのに対して、2010年からの昨年までの7年間の増加数はわずか42万7000人程度であるから、増加率では傾向はあまり変わってはいない。

 特に韓国はこの5年間で在留者が約4万人減少している。韓国との関係は近年微妙な状況にあるが、実際に在留者も減少しているのだ。そして近年大幅に勢力を伸ばしているのがベトナム人で、同時期の増加数は22万人にも及び、ネパールやフィリピンなども大幅増になっている。