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森岡 英樹
2017/01/24

トランプ経済を仕切るGS人脈と中国との深い関係

 トランプ次期大統領の一挙手一投足に揺れるマーケット。選挙前の予測に反し、上げ相場となったが、その一因となったのが、ゴールドマン・サックス(GS)出身の“三人衆”の重用だ。

「マーケットを仕切るGSが経済政策の前面に出てきたことで、無茶はしないだろうとの安心感が広がった」(外資系証券幹部)

 まず、財務長官に就くスティーブン・ムニューチン氏。大統領選中はトランプ陣営の財務責任者を務めていた。名門エール大学卒で、ジョージ・ブッシュ元大統領が籍を置いたことで知られる秘密結社スカル・アンド・ボーンズに入会していたという典型的なエスタブリッシュメントである。父もGSのパートナーを務めていたことがあるGS一家だ。

 2人目は、GS社長から国家経済会議(NEC)委員長に転じるゲーリー・コーン氏。

「ブランクファインCEOは、ヒラリー・クリントン支持を鮮明にし、ナンバー2のコーン氏はトランプ支持で一貫していた。GSの二股ぶりが話題になった」(同前)

 3人目は、トランプ陣営の選挙対策最高責任者を務め、ホワイトハウスに新設される首席戦略官・上級顧問に就くスティーブ・バノン氏。バノン氏は保守系オンラインニュースサイト会長で、人種差別的な発言で批判を浴びた。彼もGSに勤務した経験を持つ。

2006年からGS社長だったコーン氏
Photo:Kyodo

 今、市場関係者が注目するのが、世界第2の経済大国・中国との関係だ。トランプ氏は、中国批判を展開し、敵視政策をとると思われている。

 実は習近平国家主席以下、中国の政権中枢に最も食い込んでいるのがGSなのだ。GSは、最大の経済課題である国営企業見直しのアドバイザーを務めるなど、中国とのパイプは太い。習主席に近いアリババのジャック・マー会長はトランプ氏と会談し、米国で100万人の雇用を生み出すと約束した。アリババのNY上場の共同主幹事はGSが務めるなど、マー氏とGSの関係も深い。

 当選直後には、大統領就任と同時に中国を「為替操作国」に認定すると公言していたトランプ氏は、最近になってその主張を後退させている。

 以前から経済政策に大きな影響力を持ってきたGSだが、トランプ政権でその権勢はさらに強まりそうだ。