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『誰より好きなのに』から22年――古内東子「恋愛を書ける自分がまだ残ってた」

古内東子インタビュー

 1996年の『誰より好きなのに』で大ヒットを記録し、「恋愛の神様」とも呼ばれた古内東子さん。約6年ぶりのオリジナル・アルバムとデビュー25周年記念のベスト盤を発表した古内さんが、結婚や出産を経て「変わったこと」と「変わらないこと」を語りました。

古内東子さん

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「等身大の恋愛」だと自分でもずっと言ってきた

――新しいアルバム、収録1曲目の『Enough is Enough』の評判を始め、反響は伝わってきてます? 6年ぶりのオリジナル・アルバムですけど。

古内 最初の反響は、もうお久しぶりとか、やっと書いたか、みたいな。その間に結婚とか出産もあったので、ファンの方からするともうオリジナルは書かないのか、ぐらいに思われていたみたいで。それと曲調も変わってしまうという心配もされていたようで「安心しました」みたいなことも言われました。

――ファンとしては、作風ががらっと変わってしまうという心配があったと。

古内 等身大の恋愛ってことを自分でもずっと言ってきたので、結婚したからって幸せいっぱいの曲書くんじゃないかっていう心配があったんでしょうかね(笑)。

 

――例えば家族や子供の話を、等身大として書く方向を考えたりは?

古内 それは全然なかった。回路が違うんですよね。今は正直、日常をほぼ家事などに持っていかれるんですけど、それを音楽でやろうという意識はまったくなかったです。結婚、出産は、人生の分岐点というか、大きなことではあったのですが、結果からすると、作品には関係なかった。歌ってフィクションなんですよね。永遠の伴侶を今、見つけているかどうかってことでもないし、新しいアルバムを作るたびに新しい恋をしないといけないわけでもない。

都市に住む独身女性たちが主人公

――ちなみに今回のアルバム全体を俯瞰すると、東京の色々な実在の場所が出てきます。今回の『Enough is Enough』のMVを見ても都市に住む独身女性たちが主人公っていう意図がありますよね。

速水健朗さん

古内 新しいアルバムに関しては、働くOLさんに届くような「都会に生きる女性が主人公」というのは、新しいスタッフの方と1年前ぐらいからアイデアを出しあってきました。でも自分はOLにはなったことがないので100パーセントではないし、これもやはりフィクションではある。でも、歌詞に書いた場所は恵比寿であるとか数寄屋橋であるとか、日常的に自分も身を置くことができる場所ではありますよね。

――アルバム全体に東京の地名がちりばめられていて、東京、都会がコンセプトのひとつになってますよね。

古内 今回の曲作りはいままでとプロセスがちょっと変わってて、歌詞を一番最後に書いたんですよ、全部まとめて。そのときにホテルのラウンジとかそういう場所で書いたんです。家での仕事に追われている中で時間を捻出して歌詞を書いたりした時に、あえてちょっと特別な場所に、ホテルのラウンジみたいなところに行ってみることにしたんです。そこで、あえて書くぞっていう気持ちを高めて曲を作ったんですよ。