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順大・塩尻和也ら、“サンショー”こと3000m障害視点から見る箱根駅伝の注目選手たち

マイナー競技からの飛躍。極私的観戦ガイド

2019/01/02

 お正月の風物詩、箱根駅伝の号砲が近づいてきている。そんな中で注目ランナーたちの枕詞に使われるのが、トラックレースでの記録の数々だ。

「1万m28分台の記録を持つエース級」

「1500mや5000mで好タイムを持つスピード派」

 そんな言葉が新聞の紙面に踊ることもしばしばだ。1万mや5000mといった種目は箱根駅伝を語る上でも重要な指標とされており、折に触れて話題に挙がることも多いのだ。

“サンショー”選手の筆頭格、塩尻和也(順大4年)はリオ五輪の出場経験あり ©文藝春秋

「え、水濠って泳いだりするの?」

 だが、ほとんど話題に挙がらないけれど、実は長距離トラック種目にはもう1つ、メインとなる種目がある。それが通称「サンショー」こと3000m障害である。

 とにかくこの種目、日の目を見ない。

 そもそも説明が難しい。

「3000m走る間に何回かハードルを越えるんだけど……」

「ハードルってあの短距離みたいな?」

「いや、平均台みたいな太いやつなんだ」

「平均台に乗るの?」

「いやそれを越えるというか……。あとは水濠があるハードルもあって」

「え、水濠って泳いだりするの?」

 競技の説明のためにそんな会話をしたことがある経験者も多いのではないだろうか。そもそも競技を見たことがない人にはイメージがしにくい種目なのである。言葉で説明するならば、400mトラック上に平均台に似た障害物が4個、障害物の着地点に水濠があるもの1個の計5個がおかれており、3000mを走る間に障害を計28回、水濠を7回越えることがルールとなっている。

3000m障害コースにおかれている水濠 ©iStock.com

サンショーを主戦場にしている有力選手が活躍する可能性

 通常の長距離種目と比べるとハードル飛越が入ってくるため、走力に加えて技術力や障害前の位置取りの駆け引きが重要になってくる。さらには高さのある水濠を越えるため、普通のトラックレースよりジャンプ力を含めた脚力と運動神経も求められる。色々な意味で異質な種目ではあるのだ。だからこそ、地味ではあるけれど、観戦するのに面白い種目だ。

 とはいえ、全区間20km超のロードレースである箱根駅伝では、サンショーでの活躍が箱根路での好走に直結することは過去、それほど多くはなかった。3000mという距離も、箱根のコースにマッチしているとは言いがたい。そのため競技のわかりにくさとも相まって、この箱根駅伝人気の中でもすっかりマイナー種目という立ち位置を確立しているのだ。

 ではなぜ、ここであえてサンショーに注目したのか――それは、今季の箱根駅伝には、珍しくサンショーを主戦場にしている有力選手が、多く活躍を見せる可能性があるからだ。