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東海大の初優勝を後押しした「GO東海」ボードの謎――箱根駅伝2019「TVに映らなかった名場面」往路編

2019/01/05

 青山学院大学の連覇を阻止し、東海大学が初優勝を飾った第95回箱根駅伝。今年も各区間を網羅した駅伝好き集団「EKIDEN News」(@EKIDEN_News)の西本武司さん、駅伝マニアさん、ポールさんがレース後に集合。今年はスペシャルゲストとして、昨年までの4年間、東海大学陸上競技部で主務を務めた西川雄一朗さんが参加。TVでは伝わらない名場面と、東海大初優勝の舞台裏を語り合った。(全2回 「復路編」も公開中)

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【1区】アクシデントに襲われた2校のタスキ

西本 今年の箱根駅伝は第95回の記念大会にふさわしい、すごい大会でした。

マニア 久々に駅伝らしい駅伝を見た満足感がありましたね。

西本 まずは1区の名場面から。僕は関東学生連合で東京大学の近藤秀一くんがようやく走れるのを楽しみにしていました。昨年はマスコミ対応を1人でしていたこともあり、無理がたたって直前でインフルエンザにかかってしまい走れなかったんですよ。でも今年はインフルエンザの予防接種を2回も打ったと。もう近藤くんが走れるというだけで感無量で、父親のような視点で大手町のスタート直前のアップまで、ずっと見ていました。

ついに走った学連選抜・東大の近藤 

 もう一人、親心のような目で見ていたのが、駒澤大学の片西景選手。昨年お父様が亡くなり、大八木監督が親父がわりになって支えると言った選手です。ところが鶴見中継所でアクシデント。片西選手がタスキを渡そうにも2区の選手が見当たらず、中継所で戸惑っていて。僕は真後ろで見ていたのですが、もう何と言っていいのやら……。

中継所に到着した駒澤・片西だがタスキを渡す仲間がいない……

マニア 僕は東洋大学の西山和弥一択ですね。去年はアンパンマン号と並走しながら1区区間賞を取って話題となりましたが、そこからは“アンパンマン号の呪い”ともいえる不調に陥りました。出雲駅伝、全日本と調子があがらず「自分のせいで負けた」と自分を責めるなど、辛い時期が続きました。そんな西山選手が箱根にしっかり合わせてきたんですよ。スタートして一番最初に読売新聞の角を曲がった選手が区間賞を取る、というジンクスがあるのですが見事に最初に曲がってきまして。あの場面、1年間の流れを追っているとグッとくるんですよ。西山選手の場合は山あり谷ありではなく、谷あり谷あり。それを乗り越えて掴んだ区間賞ですから。やっぱり箱根駅伝は、1月2日、3日当日だけを見るだけではわからないことがあるんですよね。1年通して見たほうがおもしろい。

1区を快走した東洋・西山

西本 もうひとつ、大東文化大学の新井康平選手が転倒してあわや繰り上げスタートになるかという場面もありましたね。テレビでも話題になりましたが、僕は近くで見てました。2区を走る川澄克弥選手に、繰り上げスタート用の白タスキが係員から渡されたんですけど、川澄選手は係員に促されても頑なにタスキをかけようとせず、手に持ったままアップをしていました。新井は必ず来る、そう信じていたんでしょうね。運営管理車から見ていた奈良修監督の心配そうな表情も、印象に残っています。

転倒して足を痛めながらもタスキをつないだ大東大の新井、信じて待った川澄