文春オンライン
東海大の初優勝を後押しした「GO東海」ボードの謎――箱根駅伝2019「TVに映らなかった名場面」往路編

東海大の初優勝を後押しした「GO東海」ボードの謎――箱根駅伝2019「TVに映らなかった名場面」往路編

2019/01/05

【2区】とにかく礼儀正しい国士舘・ヴィンセント

西本 これはもう1位でタスキを渡した国士舘大学のヴィンセント選手でしょう。

ポール 来た母校! ありがとうございます(注・ポールさんは国士舘大の投てき選手だった)。

マニア 国士舘大学には初の留学生のポール・ギトンガ選手がいるんですが、留学生枠の1枠をどちらが取るのか、注目していました。

ADVERTISEMENT

西本 まずギトンガ選手が10月の日体大記録会で28分13秒台というとてつもない記録を叩き出したんですよ。これは決まりかと思いました。しかし11月に箱根駅伝のメンバー選考会的な位置づけである上尾シティハーフマラソンで、ヴィンセント選手が大会新記録で優勝して出場枠を得ました。

ポール パッと見、ヴィンセント選手はやんちゃそうですが監督の言うことをきちんと聞いて、すごく礼儀正しい選手なんです。今回のタスキ渡しも両手をまっすぐ前に出して基本に忠実だったし、コース取りも最短距離を行っていました。

1年生とは思えない国士舘大・ヴィンセント

マニア 1年生とは思えない巧みなレース運びもすごかった。普通留学生ってガンガン飛ばしてくるイメージなんですけど、ヴィンセント選手はすぐには抜かさなかった。前の選手と一定の距離を保ちながら、じわりじわりと差を詰めて、最後に一気に抜く。外国人選手らしからぬ箱根を知り尽くしたかのような走りでした。

西本 あと、今回は“レジェンド記録”ともいえるずっと破られていない記録が更新された大会でもありました。そのひとつ、1999年に順天堂大学の三代直樹さんが記録した2区の日本人最高記録を、同じ順天堂の塩尻和也選手が20年ぶりに更新。これはすごいことです。

西川 東海大的にも2区がポイントでしたね。今まで東海は2区で崩れることが多くて鬼門だったんです。ここ4年、川端千都、春日千速、關颯人、阪口竜平と、エース区間といえど毎年違う選手が走っていた。今年の湯澤は区間8位といえど離されずにまとめてきた。個人的には湯澤にMVPをあげたいですね。