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広島カープは人間でいえば20歳――菊池涼介のメジャー挑戦表明に思う

文春野球コラム ウィンターリーグ2019

2019/01/05

 まず、菊池選手が今季オフに大リーグ挑戦したいと表明した件。これは俺が持ってるラジオ番組『がんばれカープ大放送』でも話したので聞いた人は「またかよ」だし、そのときに「見当違いの適当なこと言いやがって」と思った人は「それをまた書くのかよ」と思われるかもしれませんがやはりこれは大事な推理及びそもそも案件なので記させていただきます。

 報道で知った瞬間、カープファンのみなさんは驚いたと思います。そしてショックだったと思います。「大リーグ挑戦、頑張って!」と思った人もいたとは思います。ですが、やはり寂しい気持ちがしたと思います。ヒーローインタビュー時もそうですが、広島カープを見ていると職業野球チームというよりも、なにか高校生とかの集団を見ているような気持ちになることがある。そうした集団感というか、仲間意識というか、そうしたものを暑苦しくて息苦しく思う人もいるかもしれないけど、まあ基本的に悪いものではない。

メジャー挑戦の意思を表明した菊池涼介 ©文藝春秋

カープはひとつの生きた生命体

 映画の世界だと原田芳雄さんと松田優作さんとか、さらに優作さんと山西道広さんとか清水宏さんとか、桃井かおりさんや阿藤海(快)さんとか、村川透監督とか、そんな感じだった。

 室田日出男さん、川谷拓三さん、野口貴史さん、岩尾正隆さん、志賀勝さん、小林稔侍さんたちのいわゆるピラニア軍団と、渡瀬恒彦さん、中島貞夫監督とかも、そんな感じだった。

 映画の世界もチームワークなのでおのずと関係性は濃厚になる。それぞれ協力も必要だが最終的には家族でも配偶者でもないので他者は他者だがやはり仲間は仲間でありライバルでもある。だが他者は他者なので折り合いの悪いときは当然あるし、ケンカもするだろう。冷めた部分もあるし、関係ないと言えば関係ない。人間、生まれてくるときは母がそこにいるが死んでいく時はひとりである。野球の世界もつまりは個人個人別会計で別の生活があり別の引退があり別の老後があり別の最後がある。だが野球や映画、あと仕事によっては職業によってはチームであり仲間でありひとつの確固たる意志を持った集団である。野球やサッカーなどのスポーツの場合はその集団に意志だけでなく気持ちや生命まで感じることがある。

 いまの広島カープがそれである。

 新井選手は「家族」と表現したが、そとから見てる私にはひとつの生きた生命体に見えることもある。他球団のファンの中にも私みたいなことを感じている人はいるはずだ。