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ホークスの「走塁改革」に注目 牧原、周東ら若き俊足はポジションを奪えるか

文春野球コラム ウィンターリーグ2019

2019/01/06

育成2年目、周東佑京への期待

【奪Sh!】方針を掲げていくという意味では、今オフからオープン戦までのアピール次第では、育成2年目を迎える周東佑京選手の開幕前の支配下登録もあるのではないかと期待します。昨年7月末にはいっぱいいっぱいだった支配下登録の枠も、今オフで5つ空きました。FAでの選手獲得も失敗したが故に、元気な育成選手にはチャンスが拡大しています。

 周東選手はルーキーイヤーの昨季、ウエスタン・リーグで盗塁王になりました。27盗塁で、失敗は4つだけ。ただ速いだけではないことも1年目から示すことが出来たのではないでしょうか。3月17日のウエスタン・リーグ公式戦で“開幕スタメン”を勝ち取ると、第4打席にプロ初ヒットをマーク。通常なら二塁打だろうという左翼線への安打でしたが、50メートル5秒7の俊足を飛ばし、三塁打にしてのけました。そしてもっと驚いたのが翌18日。パリーグTVでも紹介され、話題を呼びましたが、遊撃ゴロを内野安打にしてしまう野性的俊足を魅せたのです。これには守っていた遊撃手もファンも報道陣も驚きでした!

 このオフには、プエルトリコで行われたウィンターリーグに参戦。海外のパワー、スピード溢れるスゴイ選手たちの中で、周東選手は注目を集めたそうです。「(足)速いね速いね~って。言葉はわからないんですけど、海外の選手たちにジェスチャーでそう言ってもらいました(笑)めっちゃ嬉しかったですね」と興奮気味に話してくれました。周東選手の快足評価は世界共通! スローガンにちなんで、今年は「支配下奪取」と既に鼻息も荒いです。

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「春季キャンプでまずA組に入って、オープン戦に出たいです。そして支配下になって、1軍でシーズンを終えたいです」

 外野手登録ながら、内野も守れるユーティリティ性も持ちあわせ、起用の幅もあります。目先の支配下奪取に留まらず、最大の武器である足を前面に押し出して1軍奪取、そして開幕ダッシュを決める覚悟です。

「足」で勝負できる選手たち

 また、周東選手に盗塁王を「奪」われる形になってしまいましたが、一昨年まで2年連続ファームの盗塁王だった釜元選手にも注目したいです。ファームではレギュラーを張っているものの、1軍外野手の高い壁に阻まれるシーズンが続いています。昨季、上林選手が1軍で三塁打を量産しましたが、釜元選手はファームで三塁打王を何度も……(私は勝手にミスタースリーベースと呼んでいます)。盗塁に関しては、2016年は23盗塁(盗塁刺11)、2017年は26盗塁(盗塁刺16)、昨年は16盗塁(盗塁刺13)と毎年コンスタントに決めています。ただ、失敗の数も気になるところです。しかし、見方を変えれば企画数は断然多いです。「盗塁の質を上げたい」と取り組んできているので、何かきっかけをつかめばその積極走塁で、バンバン足で稼げる存在になるのでは……。どう進化を遂げていくのか楽しみです。

 真砂勇介選手も、1軍ではまだ結果を残せていませんが、俊足強打の大型外野手。「右の柳田」こと“ミギータ”とも呼ばれているように、とにかく飛距離がスゴイんです。ハマった時の爆発力は観ていてワクワクします。足の速さで守備範囲も広いです。走塁に関しては、「自分より足が速い人はいっぱいいるんで、走塁技術を磨きたいですね」と意欲を見せ、今年こその「1軍奪取」を狙います。周東選手と共に参加したウィンターリーグでは、海外の選手たちのハングリー精神に刺激を受けたと言います。持ち味の豪快さに更なる貪欲さが加わって、きっと飛躍してくれると信じています。

 もちろん、どの選手たちもそれぞれの【奪Sh!】を掲げて2019年シーズンに向かっていると思います。投手陣の先発ローテーション争いも候補生は多いですし、リリーフ陣もケガ人の復帰や即戦力新人の台頭、今年こそと意気込む選手たちもいて、誰が1軍のポジションを奪取するのかまだまだわかりません。これから春季キャンプ、オープン戦とはじまっていきますが、開幕ダッシュへと頑張る選手たちを我々も球場へダッシュして応援しに行きましょうね!

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