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愛娘はいま3歳8カ月 「凍結卵子」で子どもを産んだ44歳女性のその後

 2016年元日に刊行した「週刊文春WOMAN」パイロット版に掲載した一本の記事が、その後、専門家の間で注目を集めた。「未婚のうちに凍結保存しておいた卵子を使って出産した女性」が初めてメディアに登場したケースだったからだ。あれから3年、入江奈那子さん(仮名)が卵子凍結のいきさつや子どもの成長を語る。

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3歳8カ月になった娘の元気なおしゃべり

「ねえ、おかあさん、おかあさん」

 3歳8カ月になった娘のおしゃべりが止まりません。今日は保育園のみんなとお散歩中に赤い郵便車を見かけたそうです。「はがきやおてがみ集めるのよ」と得意げに教えてくれました。そして子育て中の方にはお馴染みと思いますが、『はたらくくるま』という歌を大きな声で歌い始めました。娘はこの歌のお陰で今では郵便車はもとより、カーキャリアやパネルバンの役割まで説明できるようになりました。

 最近では食事の後に腕まくりをし、率先してお皿やお茶碗を洗ってくれます。踏み台に乗ってようやくシンクに手が届くという具合ですからヒヤヒヤして見ていると、実に上手に洗っています。

※写真はイメージです ©iStock.com

 生まれてからほとんど風邪も引かず、日に日に成長している娘ですが、生まれて間もないころには、ひと騒動ありました。そして無事に育つのかどうかと危ぶむ声さえあったのです。

 2015年秋、関西の山里に暮らす私たちを東京から一人の女性が訪ねてきました。これが騒動の始まりです。私の妊娠・出産の体験談を聴きにいらしたのですが、このときの、私にしてみればとりとめのないおしゃべりが、翌年の元日に発刊された「週刊文春Woman」に掲載されました。タイトルは「卵子凍結する女たち」です。

 私の妊娠・出産は、人の手によって卵子に精子注入する“顕微授精”という体外受精によるものですが、その卵子は私が未婚のうちに採取して3年間凍結保存しておいたものだったのです。

 するとまもなく、その「週刊文春Woman」を携えた新聞記者がやってきました。そして──

「凍結卵子 健康女性出産、大阪の44歳 国内初確認」

 私の出産が全国紙1面のトップニュースになったのです。