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「一番トクしたなと思うのは、不器量だったこと」――樹木希林が遺した生き方のエッセンス

『一切なりゆき~樹木希林のことば~』より

2019/01/16
note

人間でも一回、ダメになった人が好きなんです

 私は物を消費することに真実はないと思っていますからね。だから私は人間でも一回、ダメになった人が好きなんですね。たとえば事件に巻き込まれてダメになった人というと言葉はおかしいけれども、一回ある意味の底辺を見たというのかな。そういう人は痛みを知っているんですね。だから、いろんな話ができると同時にまたそこから変化できるんです。

(「母樹木希林が親友に打ち明けた“七夕挙式”までの全秘話」1995年7月)

2014年の日本アカデミー賞では西田敏行と並んで登壇した ©文藝春秋

子供は飾りの材料にしないほうがいい

 うちは父母ともに芸能界で問題を起こす路線をずっときてて(苦笑)、立派な家庭は築けなかったから、子供は読み書きソロバンができて友達がいればそれでいいやと思った。だけどいまの女の人って、子供を踏み台にしちゃうでしょう。子供も自分の飾りを満足させるナニカだと思ってる。だから人と比較して落ちこんだりするんであって、子供は飾りの材料にしないほうがいい。

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(「この女性の軌跡」2001年7月)

一切なりゆき 樹木希林のことば (文春新書)

樹木 希林

文藝春秋

2018年12月20日 発売

「一番トクしたなと思うのは、不器量だったこと」――樹木希林が遺した生き方のエッセンス

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