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「ヒカキンさえいなければ」で自己嫌悪。親の葛藤を痛感する

まあ、半分は自分でできているわけですし

2019/01/17

知りたいという人間の意欲、恐るべし

 見たいものが見たいだけ見られる状況を追い求めると、必然的に、ネット依存が始まるわけです。便利なんですよね、インターネット。見たいものが違うから知りたいことを知るために、おのおのいろんな方法でネットにぶら下がり始めます。

 最初はYouTubeを三人で仲良く観て楽しんでいたものが、だんだん長男はトミックさんやフィッシャーズなど生物系のYouTuberに、次男はNASAなどの宇宙動画や大好きなドラえもんに、三男はエンジンやメカものやすみっコぐらしにと、好きなものが分岐していって、いままでひとつだったものがどんどん分かれていく。それが成長というものだろうけど、父親としては「そのまま手が離れていくのかなあ」と思う部分も強いのです。

みんな大好き、ドラえもん ©iStock.com

 YouTubeの使い方も、いつの間にか覚えていました。アルファベットは分からないなりにだんだんとローマ字打ちを覚え、またフリック入力でひらがなを入れ、三男はマイクボタンを押して音声入力しています。知りたいという人間の意欲、恐るべし。そして、いつの間にかどっぷりと動画が大好きになって、暇さえあればパソコンやiPhoneの奪い合いになるわけであります。動画の観すぎは良くない、時間の無駄だと諭す家内、パソコンを子供に占領され連絡が滞り途方に暮れるわたくし。ただ、それでもヒカキン動画とかは家族みんなで観ている時期がありました。大人が観ても面白いし良くできてるよね、ヒカキン。

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 ヒカキンが猫を飼った。それを観た長男の「うちにもわさびちゃんという猫がいるけど向こうのほうが綺麗だし可愛いよね。なんでだろう」に対し次男が「それはわさびちゃんが汚い錆柄だからだよ。この子のせいじゃないよ」三男「わさびちゃんが可哀想だ」。あー、うん。呼ばれた名前に反応してチラッとこっちを見るわさびちゃん。地味にDISられていることに気づいているのだろうか。あとでチュールをやろう。

ヒカキンの動画。大人が観ても面白いし良くできてるよね

自分の人生に悔いはないけれど……

 がっちゃんやヒカキンを観始めて1年半以上が経過して、だんだんと中毒になり始めたのはいつごろからか、いつの間にか動画の中で繰り返し紹介されるゲーム『青鬼』や『マインクラフト』に興味を持ち始めてしまうわけです。

 いや、まあゲームは私も好きだよ。でもゲームが本当に好きになると、私みたいになってしまう。いいのかそれで。悩む父親。じっと考える。自分の人生に悔いはないけれど、ゲームにハマって反省したことは一度ならずある。大好きだった『ウルティマオンライン』、愛していた『信長の野望』、さんざんやった『エバークエスト』『ルナティックドーン』『ヒーローズ・オブ・マイト・アンド・マジック』『大戦略II』『スパイクアウト』『ストリートファイターII』『三国志大戦』……。瞼を閉じればいままでも、現在も、これからもゲームをやり続ける人生だったのは、私が一人っ子として育ち、兄弟のいない寂しさをゲームで埋めて育ってきたからじゃないのか。

YouTubeの使い方はいつの間にか覚えてしまった ©iStock.com