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特集
トランプだョ! 全員集合 現地ルポ、閣僚図鑑から危険な名言録まで!

浅川 芳裕
2017/01/25

NYのタイムズスクエアで発見した「トランプのトランプ」がすごい

キングはトランプで、ヒラリーはババ

 トランプ就任で何かと騒がしいニューヨークを歩きまわって、ついにトランプの「トランプ」を発見した。タイムズスクエアの土産物屋にそれはあった。

まさにトランプだョ!全員集合 ©浅川芳裕

「ポーカー用サイズ・カジノ品質」と銘打つ本格派トランプである。箱を開けてみると、キングが4枚出てくる。すべてトランプだ。各絵札にはそれぞれ彼を象徴する言葉「MAKE AMERICA GREAT AGAIN(アメリカを再び偉大に)」、「FIGHTING FOR AMERICA(アメリカのために戦う)」、「THE ART OF THE DEAL(交渉の芸術=トランプの自著タイトル)」などと記される。

とりあえず、トランプはキング

 絵柄の下には職業欄がある。「交渉人」「ファイター」「皇帝ドナルド(The Donald)」とあり、「大統領」とは書いていない。それもそのはず、このトランプの発売日は大統領選の前なのだ。

いい顔してる ©浅川芳裕

 キングのあとに出てくるエース4枚にはもれなく、「トランプを大統領に!」と応援メッセージが刻まれている。ケースの表には「大統領にふさわしいトランプ」、裏には「2016年(大統領選)はトランプを!」と全面的にトランプ支持トランプなのだ。

 このトランプのトランプ、大統領選の当落を見事、予想した。キングのなかでも皇帝の姿をしたトランプはじつに、「来た、見た、勝った」(カエサルの勝利宣言で知られる名言)という予言を発している。

メラニア夫人と娘のイヴァンカはもちろんクイーン

 ババはやはりというべきか、ヒラリー・クリントンの絵柄が登場する。「ババを引く」落選予想も的確だ。もう一人のババはティム・ケイン。クリントンもろとも撃沈した民主党の副大統領候補だ。

ジョーカーのヒラリーと民主党の面々。ジョン・ケリー、バーニー・サンダースともに「2」 ©浅川芳裕

 キングがトランプなら、クイーンはトランプを取り巻く女たちの面々だ。ダイヤのクイーンが妻のメラニア(元スーパーモデル)。スペードのクイーンが娘のイヴァンカ(実業家)。作家・解説者で熱烈なトランプ支持者として知られるアン・コールターがダイヤの9 で入っている。

左から娘のイヴァンカ、妻のメラニア、トランプ熱烈支持者の作家アン・コールター ©浅川芳裕

 ハートがなぜか元アラスカ州知事のサラ・ペイリンとなっている。これは保守派の女性から大人気のペイリンがトランプ支持のラブコールを送った背景があるからだろう。

 クイーンのもう一枚はクリントンが再登場し、「(トランプが大統領になったら)私の他にだれか牢屋に入る?(ANYONE ELSE WOULD BE IN PRISON)」と意味深なコメント入り。選挙中の「クリントンを投獄せよ!」運動をほのめかしている。

左からトランプを口撃したキャスターのメギン・ケリー、ゴリゴリ保守のサラ・ペイリン、かつての敵カーリー・フィオリーナ ©浅川芳裕

 他の女性陣は、討論会の司会でトランプを口撃して名を馳せたFOXニュース・キャスターのメギン・ケリーがクラブの5、そして共和党予備選でトランプと戦い一時支持率で上回ったカーリー・フィオリーナ(元ヒューレット・パッカードCEO)がクラブの9で登場する。

ローマ法王はハートの7、習近平はハートの9

 トランプと因縁の深い世界の指導者も多く登場する。みんなハート・マークだ。

偉い人たち。左上から時計回りにレーガン、プーチン、ローマ法王、ナタニエフ、習近平 ©浅川芳裕

 ハートの7はフランシスコ・ローマ法王。「壁を造るのはキリスト教徒ではない」と批判されたトランプが、「宗教指導者が、特定の人の信仰を疑うのは恥ずべき!」と応戦した相手だ。

 不公平な貿易相手国と名指される中国の習近平国家主席はハートの9。「貿易協定」と書かれた紙を手に持つ。トランプ・バッジを胸に、ロシアのプーチン大統領は「強い世界のリーダーシップ」を掲げてハートの10。イスラエルのネタニヤフ大統領はハートの8で、「イスラエルの友」と親イスラエルのトランプを指さす。

 そして政治スローガン「再びアメリカを偉大に!」の生みの親、故第40代レーガン大統領はトランプ支持者としてハートのジャックでご登場だ。

クルーグマンはダイヤの3、ついでにイエレンFRB議長がハートの5

左上から時計回りにトム・ブラッディ、ゲイリー・ビジー、ヴィンス・マクマホン、イエレン議長、クルーグマン ©浅川芳裕

 トランプ支持の著名人も登場する。大手プロレスだ団体WWE創始者ヴィンス・マクマホン(クラブのJ)、俳優のゲイリー・ビジー(クラブの6)、アメフト選手のトム・ブラッディ(クラブの10)。

 超大物カードもある。ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授(ダイヤの3)だ。ついでに連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャネット・イエレンもいる(ハートの5)。トランプ支持者ではないが、なぜかトランプの顔入り1ドル札を持たされている。

左からFOXキャスター・シーン・ハニティ、ラジオの人ヒュー・ヒューイット、FOXニュース大物司会者のビル・オライリー ©浅川芳裕

 メディア業界からの支持者も顔を連ねる。共和党系FOXニュースのニュースキャスター、ショーン・ハニティ(ダイヤの5)やラジオ・パーソナリティのヒュー・ヒューイット(ダイヤの4)はご機嫌に登場している。

嘘つきテッドに、ちっちゃいマルコ。敵たちもたくさん登場

 このトランプは共和党予備選を共に戦った政治家までカバーする。

上段左からマルコ・ルビオ、テッド・クルーズ、オハイオ州知事のジョン・ケーシック、ジェブ・ブッシュ、下段左からランド・ポール上院議員、マイク・ハッカビー元アーカンソー州知事、ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカー、ルイジアナ州知事のボビー・ジンダル ©浅川芳裕

 トランプにひどいあだ名をつけられ、国民の笑いの的になり、撃沈した面々だ。「嘘つきテッド」ことテッド・クルーズ上院議員はスペードの10、「ちっちゃいマルコ」ことマルコ・ルビオ同議員はスペードの9、そして当初は本命とされたブッシュ家の秘蔵っ子ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事はスペードの7。

 「元気がない」とあだ名をつけられたブッシュは「お前は元気がありすぎだよ!(He’s a HIGH ENERGY Guy)」と敗北メッセージを送る。

大富豪の閣僚メンバーが幸運の「7」

 このトランプは政権入りメンバーさえ、予見している。選挙戦で善戦し、撤退したのちトランプ支持に回った外科医ベン・カーソンはスペードのJ。トランプを「賢くて、有能なリーダー」と称賛し、住宅都市開発省長官の指名をうけた。

 幸運のクローバーのラッキー7は経済界から唯一登場する大富豪カール・アイカーン氏。トランプ改革の本丸、規制改革担当顧問に就く。

左からクリス・クリスティ元ニュージャージー州知事、大富豪のカール・アイカーン、トランプが「とってもいい奴」と評価するベン・カーソン ©浅川芳裕

 カーソンと同じく撤退後、トランプ陣営に加わったクリス・クリスティニュージャージー州知事(スペードの6)はどうか。彼の行く手の橋の絵のうえに「行き場がない(NOWHERE)」と記してある。政権移行委員会の副委員長に就任したものの、閣僚入りは果たせず、トランプの予言どおり、行き場のない状況だ。

 このトランプのトランプ、当たりすぎて怖いぐらいだ。内部関係者が制作にかかわっているのか。カバーには「関わりはない」とわざわざ記してある。制作者はその名も「パロディー・プロダクション」。今後、トランプ政権の将来を占う新バージョンが出たら、続報しよう。

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