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側近副知事が口利きで辞任 翁長知事を苦しめる与党対立

 1月23日、沖縄政界に激震が走った。沖縄県の安慶田(あげだ)光男副知事(68)が辞任を表明したのだ。“震源”となったのは、地元紙「沖縄タイムス」が18日の朝刊一面トップで報じたスクープだ。

「2015年の教員採用試験で特定の受験者を合格させるよう、県教育委員会に口利きした疑いを指摘したのです。安慶田氏は否定しましたが、翌19日の沖縄タイムス朝刊では今年度の県教育庁人事を巡り、複数の特定の人物を要職に就けるよう指示した新疑惑も続けて報じました」(地元メディア関係者)

 安慶田氏は那覇市議を10期務めて「県都のドン」と言われ、14年の県知事選では那覇市長だった翁長雄志氏(66)を擁立。選対事務総長として保革共闘の「オール沖縄」で、自民党の推す仲井眞弘多知事と対決し、当選に導いた。その論功行賞で副知事に就くと、知事最側近として菅義偉官房長官や二階俊博自民党幹事長ら中央政界との交渉役を担ってきた実力者だ。

 実は、スキャンダル発覚の前から、翁長氏の足元は揺らいでいた。

来年に知事選を控える翁長氏 ©共同通信社

「昨年、菅官房長官が米軍北部訓練場の新規ヘリパッド完成と引き換えに同敷地の過半を『年内に返還する』と約束した際、翁長氏が『歓迎する』と発言したところ、共産党、社民党、沖縄社会大衆党などの県政与党が猛反発。翁長氏は撤回しましたが、その後も不信感は払拭されていません。米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る訴訟でも県の敗訴が確定し、埋め立て工事再開を止められない手詰まり感が募り、今後の運動論を巡りオール沖縄の足並みが乱れているのです」(沖縄政界関係者)

 22日の宮古島市長選では、翁長氏が社民党系の候補者ではなく、共産党が支援した前県議を応援したが共倒れ。この分裂劇で、同市出身の安慶田氏への責任論がくすぶっていた最中の疑惑報道に、スクープの出所を巡り、オール沖縄内の各党間で疑心暗鬼も生まれていた。

「安慶田氏には第三の疑惑も出るとささやかれていました。宮古島市に続き、浦添市長選(2月12日)でも翁長氏の推す候補が自公推薦の現職に敗れれば、いよいよ外堀が埋められてしまう。それを避けるため、安慶田氏辞職で、県政与党と手打ちしたとも言われています」(同前)

 汚れ役に徹してきた安慶田氏を失い、翁長県政は大きな分岐点に立つことになる。