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AV拒否の女性を提訴した弁護士が異例の懲戒審査へ

 AV出演強要をめぐり、また新たな動きが判明した。AV出演を拒否した20代の女性に所属プロダクション会社が「契約違反だ」として約2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、会社側の代理人を務めた男性弁護士(60代)について、日本弁護士連合会が「提訴は問題だった」として懲戒処分にするかどうか審査に掛ける決定をしたというのだ。法曹ライターが解説する。

「この問題は産経新聞が1月19日にスクープし、NHKや各紙が後追いした。提訴を理由とした懲戒審査は異例だったため、注目を集めたのです。提訴は弁護士の通常の仕事。弁護士は『裁判を受ける権利』に基づき、紛争当事者を代理して提訴し、裁判所の判断を仰ぐ職責があります」

 そもそもこの訴訟は、AV強要問題が表面化する端緒ともなった。女性側の代理人を務めたのは、AV強要問題に熱心に取り組む伊藤和子弁護士。判決で東京地裁は2015年9月、「AV出演は女性の意に反しており、女性には契約を解除するやむを得ない事情があった」として会社側の請求を棄却した。
「この訴訟を報道で知った第三者の男性が『違約金で女性を脅してAV出演を強要させる不当なスラップ(見せしめ・恫喝)訴訟だ』として、男性弁護士の懲戒を所属先の第二東京弁護士会(二弁)に請求したのです。二弁は『提訴に問題はなく、懲戒しない』と決定したものの、決定が不服の男性は日弁連に異議を申し立てた」(司法担当記者)

 これを受けて日弁連は昨年末、二弁の決定を取り消し、懲戒処分の審査を求めたのだ。

「日弁連は『高額の賠償請求は、この女性や同様にAV出演を強要されている女性への威圧効果があった。提訴は不当とまでは言えないが、問題がなかったとは言えない』としたのです」(同前)

 今後、二弁が懲戒の是非や内容を検討するという。

「法曹関係者の間では『スラップ訴訟の抑止になる』『提訴が妥当か判断するのは裁判所だ』と賛否両論が巻き起こっています。ただ、昨年から警視庁保安課が、AV業界や、所属会社から派遣されたAV女優が在籍するソープランドなど周辺風俗業界の徹底摘発に取り組んでおり、その流れを受けた恰好なのは間違いない」(前出・法曹ライター)

 二弁の判断が注目される。

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