昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載THIS WEEK

森岡 英樹
2017/01/27

経営危機再び 東芝の命運を握るNANDの神様

 東芝で、原発事業を巡る巨額損失が発覚し、再び経営危機に陥っている。

「損失額は当初予想を超え、7000億円にまで膨れ上がると見られています。自己資本は昨年9月末時点で、約3600億円のため、このままいけば債務超過は必至。リストラの先送りや利益の上ぶれ分で3000億円程度は捻出できるが、最後は資産売却で資本を厚くするしかない」(金融関係者)

 その有力手段が、数少ない業績好調の半導体事業の分社化だ。分社した新会社の株を2割程度売却し、約2000億円を調達するという。半導体を中心とする電子デバイス部門は収益の8割強を叩き出す稼ぎ頭で、利益の上ぶれ分も、半導体が生み出したもの。

 主力のNAND型フラッシュメモリーの販売は絶好調で、当初予想を上回り1000億円を超える利益を稼ぐと見られる。

巨額損失を公表した綱川智社長 ©共同通信社

「東芝は、医療事業を既に売却し、現在は原発と半導体が2本柱。原発がコケた今、半導体で何とかするしかない。そもそも、この2事業は、専門家でないとわからない世界で、別会社と言っていいほど、世界が違う」

 その半導体事業のキーマンと言われているのが、元副社長の小林清志氏(61)だ。人呼んで“NANDの神様”。不正会計の責任を問われ一昨年7月退任したが、今も顧問として本社に詰めているという。

「同じ半導体畑の室町正志社長(当時)の要請を受けて顧問に就任し、指揮をとっていた」(東芝関係者)

 小林氏は、東北大学理学部修士課程を修了し、1980年に入社。NAND型フラッシュメモリーの開発など半導体技術畑一筋で副社長まで上り詰めた。

「言葉遣いは荒く、部下にも厳しい。トンネル会社を利用して私腹を肥やしているとの『怪文書』を流されるなど毀誉褒貶ありますが、半導体では読みが一番大事。設備投資額が大きく、あたれば巨額の利益を生む一方、外れれば大損をする半導体事業はバクチに近い面がある。小林氏は、この目利きに長け、“相場師”と言われる。小林顧問は、どの半導体にどれだけ投資するかの“半導体ポートフォリオ”を管理し、増産・減産の指示をしていると言われています」(同前)

 小林氏の読みは、苦境の東芝を救えるか。

はてなブックマークに追加