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連載シネマチャート

愛する娘を留学させるため不正も厭わない父

『エリザのために』 (ルーマニア、仏、ベルギー)――シネマチャート

〈あらすじ〉

ルーマニアの地方都市。医師のロメオ(アドリアン・ティティエニ)は愛人の部屋で、登校中の娘エリザ(マリア・ドラグシ)が暴漢に襲われたという知らせを受ける。大事には至らなかったが、動揺したエリザは翌日から始まった、イギリス留学を決める卒業試験で本来の実力を発揮できなかった。ロメオは娘の留学を実現するために奔走し、警察署長、副市長、試験委員会委員長らへのツテとコネを駆使する。そして、合格点と引き換えに、ある交換条件をのむことにする。

〈解説〉

第69回カンヌ国際映画祭監督賞受賞作。クリスティアン・ムンジウ監督にとって、『4ヶ月、3週と2日』『汚れなき祈り』に続くカンヌ受賞作となる。愛する娘の将来のためなら不正も厭わない父の物語に、ルーマニアの現在を映し出す。128分。

  • 中野翠(コラムニスト)

    ★★★☆☆あのチャウシェスク政権打倒の末がこれか。語り口に節度があり好感を持って観ていたが、後半ダレた。話広げすぎ?

  • 芝山幹郎(翻訳家)

    ★★★★☆七面倒なこじれを宙吊りにしたまま、意外な粘り腰を見せる。「待つキャメラ」の映像が効果的。その陰から荒廃が浮かぶ。

  • 斎藤綾子(作家)

    ★★★☆☆妻も愛人も娘も、現実を仕方なく受け止める強さが印象的。夫ロメオの右往左往する姿が優しくもあり鬱陶しくもある。

  • 森直人(映画評論家)

    ★★★☆☆ヨーロッパ型の優等生映画。力量は確かだが、抑圧的な父親の身勝手な善意で社会の傷口を露呈させる展開は既視感強し。

  • 洞口依子(女優)

    ★★★★☆社会派と言われる監督だが今回は哀愁漂う親父の空回り劇が絶佳。静穏な色彩に時折波乱投じる丁寧な画面作りも秀逸。

  • もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
  • 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
  • 料金の価値は、あり。★★★☆☆
  • 暇だったら……。★★☆☆☆
  • 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
©Mobra Films - Why Not Productions - Les Films du Fleuve - France 3 Cinéma 2016
INFORMATION

エリザのために
1月28日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
監督:クリスティアン・ムンジウ
出演:アドリアン・ティティエニ マリア・ドラグシ ブラド・イバノフ リア・ブグナル  マリナ・マノビッチほか
http://www.finefilms.co.jp/eliza/