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「日本に捨てられ、韓国に救われた」就職氷河期世代の私――ある団塊ジュニアの見た平成

2019/04/29
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 文春オンラインでは、「あなたが書きたい『平成の名言』と『平成の事件』は?」と題して、広く原稿を募集しました。今回は、その中から佳作に入選した作品を掲載します。

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 私たち団塊ジュニア世代にとって、平成という時代は決して「よい時代」とは言えなかった。私は今43歳で、平成15年、26歳の時、社会への絶望感とともに日本を出て以来、ずっと外国で暮らしている。もちろん自分の意思で出たわけだが、その背景には「日本から押し出されてしまった」という感じがある。大卒の同年代で外国で暮らすことを選択した人々は皆、多かれ少なかれ感じていることではないかと思う。

「100社応募して、返事がきたのは3社のみ……」

 私が大学を卒業したのは1998年。いわゆる就職氷河期の真っ只中だった上に、二流大学の文学部卒で女性という「ハンディキャップ」があったため、まともな会社への就職は極めて困難な状況だった。私は就職活動もそこそこに、進路を誤魔化すように大学院へ進学した。家が裕福で親が甘い女子学生たちは、卒業後「家事手伝い」になった。

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 そんな中、真面目に就職活動をしていた同級生たちに話を聞くと「100社近くに応募したが、返事が返ってきたのは僻地にある3社のみだった」などという話題ばかり。運良く就職できても、残業が多く薄給であるとか、今で言うパワハラがあるとか、明るい話は一切聞くことができなかった。自殺したらしい、と噂になった人も少なくなく、心を病んで引きこもってしまった人も実に多かった。

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 氷河期世代だけでなく、「ロスト・ジェネレーション」「貧乏くじ世代」などと呼ばれる私たちだが、大学卒業から20年以上を経た現在、皆一体どんな暮らしをしているのだろうか。まず、幸運にも就職や転職がうまくいき、安定した暮らしをしている人。それから、結婚して主婦になっている女性や自営業を営んでいる人、アルバイトや派遣でなんとか食いつないでいる人、私のように外国への移住を選び、今もそこで暮らしている人。そして「引きこもり」の人がいる。