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“奥浅草”に隠れる絶品メンチカツの店

“奥浅草”に隠れる絶品メンチカツの店

食のプロが教える「いま下町で行くべき店」怒涛の60軒! #2 

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「まるます家」は1日に2回入店禁止

──そうすると、下町って、古い飲み屋街があったり、昼間からベロベロに酔っぱらえる店があるところなんでしょうか。

小石原 それは酒飲み目線ですね(笑)。酒を飲まない人からはそれは下町の定義ではないと言われるかも(笑)。

大竹 まったくだ。「何言ってんだおまえたち、頭おかしいんじゃないか」って言われそう(笑)。

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渋い「ニュー王将」の店内

小石原 でも、仮にそうだとすると浅草も立石も赤羽も当てはまります。赤羽なんて、昼どころか朝から飲める(笑)。

大竹 さっき話に出た「まるます家」は朝から開いてるし、ほかにもけっこうありますからね。しかも、「まるます家」は1日に2回入店禁止なんです。そういう人がけっこういるってことですよね。

小石原 入りたい人がいっぱいいますからね。「いこい」は常連のおじいさんがカウンターにまずお金を積んで、酒やつまみを頼んだら、お店の人がそこから黙って料金分を抜いていくという素敵な光景が見られる。多分、今日の飲み代はこれだけというのが本人の中で決まっているんでしょうね。あと、鶯谷にも朝から飲める店がありますよね。

大竹 「信濃路」という店で24時間営業。どういうオペレーションになってるのかよくわかんないんだけど24時間飲めるんですよ。だから店の前は通りたくない。前を通ったら必ず入ってしまうから。焼きそばだけでも食べていこうと(笑)。

小石原 恵比寿の「たつや」も朝から呑めますよね。

大竹 「たつや」に午前中に行くと小石原さんのような女性が1人で飲んでたりするんだよね(笑)。「お姉さん、何やってる人?」っていつも思う。でも、恵比寿ってオシャレな町なのに、どこか下町風という雰囲気はあるんですよね。

小石原 「さいき」とか「縄のれん」とかは、もろに昭和の雰囲気ですね。カレーが名物の店「吉柳」もありますよね。

大竹 だけど、昭和の酒場が1軒、2軒だけ残ってるというのを下町って言っていいのかは微妙ですよね。

伴 大森など、京急沿いにも下町はありますね。

大竹 あのあたりは下町風情が色濃く残ってますよね。立会川なんかまさに。

小石原 立会川! あそこは、「鳥勝」「お山の大将」、だいたいこの2軒をはしごするようにできてますよね。先に鳥勝に口開けで行って、お山の大将で目玉焼きチャレンジという(笑)。

大竹 あと、大井競馬場のもつ丼が最高です。

小石原 ああ~、噂に聞いております。

大竹 聞いてますか。多分日本の競馬場の中であそこのもつ煮込みが一番うまい。コップ酒がまた安いからガブ飲みしてベロベロになっちゃって、競馬どころじゃないという(笑)。

構成=山下久猛(フリーライター)

★まだまだある下町グルメ@編集部推薦
アメッツ(田原町)
浅草の隣、田原町のスペイン料理店。カウンターでタパスをつまんでワインを2、3杯飲んで帰るのもよし、奥のテーブルで本格的料理を楽しむのもいい。要予約だが、仔豚の丸焼きが名物。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131102/13111446/

Nomka(赤羽)
スナックだった場所を居抜きで借りた中国料理店。かつて千住で人気店を経営していた夫婦が小皿料理店を新たに開いた。豚すね肉の煮こごりや海老マヨなどをワインと一緒に。
https://tabelog.com/tokyo/A1323/A132305/13179510/

鍋家(湯島)
名前の通り鍋が何種類もある居酒屋で一番のおすすめは「きんき鍋」。一品料理も充実している。
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13077123/

北海道の釣りのキンキを使った、鍋家のキンキ鍋。

○小石原はるか 1972年東京生まれ。一度ハマると歯止めの利かないマニアックな気質と頑強な胃袋で、これまでにスターバックス、さぬきうどん、料理人、ホルモン、発酵食品などにどっぷりとハマってきた、人呼んで"偏愛系ライター"。著書に『スターバックス・マニアックス』(小学館文庫)、『麹の「生きた力」を引き出す本』(共著・青春スーパーブックス) 、『レストランをめぐる冒険』(小学館)、『東京最高のレストラン2017』(共著・ぴあ)、『自分史上最多ごはん』(マガジンハウス)など。


○大竹聡 東京三鷹生まれ。フリーライター。元「酒とつまみ」編集長。酒と酒場のことばかり書いている53歳。近著に『五〇年酒場へ行こう』(新潮社)『多摩川飲み下り』(ちくま文庫)など。


○伴一彦 脚本家。主なテレビ作品に『パパはニュースキャスター』『ストレートニュース』『喰いタン』など作品多数。「JKニンジャガールズ」舞台版が2月23日から、同映画版が7月17日から公開。ビストロ料理、タイ料理、坦々麺、赤ワイン好き。

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