昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載歴史・時代小説の歩き方

大矢 博子
2016/07/02

最後から二番目の補遺
――オマケが楽しい文庫巻末情報

genre : エンタメ, 読書

【問】以下の小説に共通するものは何でしょう?

 モンゴメリの『赤毛のアン』
 コナン・ドイルのシャーロック・ホームズ
 ロバート・B・パーカーの私立探偵スペンサー
 池波正太郎の『鬼平犯科帳』

 正解は「作中に登場する料理のレシピ本が出ている」こと。別に料理小説ってわけでもないのに、料理の描写が妙に細かかったりやたらと美味しそうだったりって作品、あるよね。話は忘れちゃっても、出てきた料理だけはやけにはっきり覚えてたりとか。

 そういった料理の詳しい紹介やレシピが一冊にまとまってるわけで、これは実に楽しい。『赤毛のアン』のレシピ本は何冊も出てるが、おすすめは『赤毛のアン レシピ・ノート』(東洋書林)。鵞鳥料理は羽を毟るところから始まるぜワイルドだろぉ? 『シャーロック・ホームズ家の料理読本』(朝日文庫)はホームズの下宿の料理人・ハドソン夫人が綴ったという楽しい趣向で、パスティーシュ小説の趣も。

 池波正太郎に至っては、登場する料理は美味しそうなのに作中にレシピらしいレシピは殆ど書かれていないため、プロの料理人が工夫して再現した『鬼平舌つづみ』(文春文庫)や季節ごとの登場料理を解説した佐藤隆介編『池波正太郎・鬼平料理帳』(文春文庫)が参考になる。他に藤枝梅安シリーズからは『梅安料理ごよみ』(講談社文庫)、剣客商売シリーズからは『剣客商売 庖丁ごよみ』(新潮文庫)と、あるわあるわ。

 まだあるぞ、「検屍官」シリーズ(講談社文庫)の『パトリシア・コーンウェルの食卓』(講談社)、村上春樹作品に出てくる料理をまとめた『厳選 村上レシピ』(青春文庫)、ポワロも食べたキドニーパイが載ってる『アガサ・クリスティーの晩餐会』(早川書房)、開拓時代の食文化がわかる『大草原の小さな家の料理の本』(文化出版局)とか……え? 時代小説のコラムなのに大事なレシピ本を忘れてるって?

鬼平犯科帳(一): 1 Kindle版

池波 正太郎(著)

文藝春秋
2000年04月10日 発売

購入する

鬼平舌つづみ (文春文庫)

文芸春秋(編集), 文春=(編集)

文藝春秋
2004年06月 発売

購入する

池波正太郎・鬼平料理帳 (文春文庫 (142‐34))

池波 正太郎 (著)

文藝春秋
1984年12月 発売

購入する

【次ページ】レシピ本だけじゃない、文庫巻末レシピ集

はてなブックマークに追加