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“テレビっ子”ヒャダインが語るテレビのこと #1

「『Mステ』は今すごくいい状態にあると思います」

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「テレビはつまらない」「テレビ離れ」など、テレビにまつわる話にはネガティブなものが多い。しかし、いまなお、テレビは面白い! そんな話をテレビを愛する「テレビっ子」たちから聞いてみたい。そこで真っ先に頭に浮かんだのが、『新春テレビ放談』や『テレビブロス』の連載などでテレビ愛あふれる批評を繰り広げている音楽クリエイターのヒャダインさんでした。まずはヒャダインさんのテレビ遍歴と、いま変わりつつある音楽番組について聞いてみました。

 

――そもそもテレビはお好きですか?

 好きですね。めっちゃテレビっ子です! もう“全録”は常識ですよね。

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――子供の頃の一番最初のテレビの記憶ってなんですか?

 なんでしょうね。ぼくは“シムケン派”だったので、よく見ていたのは『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』。あとは『ものまね王座決定戦』とかが好きで見てましたね。だから、『(オレたち)ひょうきん族』系のことはあまり語れないんですよね。うちの親父がバラエティが嫌いだったので、あんまりチャンネルを回させてもらえなかったんですけど、『笑っていいとも!』の増刊号は100%見てました!

――それはおいくつくらいからですか?

 もう一桁くらいの頃からだったと思いますね。ずっと増刊号は見てました。好きだったなぁ、日曜のスペシャル感。関西ではその後に読売テレビで『ルパン三世』の再放送があったんですけど、そのセットが日曜日でしたね。

――『いいとも』はどんなところに惹かれました?

 タモリさんが自由にイキイキとしている回が好きなんですよね。なので、「テレフォンショッキング」は、ぼくにとっては正直、感情が起伏しないコーナーだったんですけど、和田アキ子さんや間寛平さんや片岡鶴太郎さんがゲストのときは全然違うんですよね。たとえば間寛平さんが来ると、ずっと猿合戦してる。猿のモノマネをし合って、ケンカをするんですよね。基本、タモリさんは挑戦者側の猿なんですけど、負けるんですよ(笑)。負ける猿として尻込みしていくというあの感じがすごく好きでした。あと、爆笑問題の太田(光)さんと絡んだ時のタモリさんのイキイキっぷりがスゴく良くて。今でも思い出すんですけど、丸いパイプ椅子が並んで対決するんですけど、ずっとタモリさんと太田さんがそこでピョンピョン跳ねて、「わーい!」とやっているんですよ。生放送ですよ(笑)。もう60オーバーの人が。楽しいなと思って、そういうのが好きでしたね。

『HEY!HEY!HEY!』はVHSに録って繰り返し見てました

 

――ヒャダインさんが子供の頃ってタモリさんが「つまらない」象徴みたいになってたと思うんですけど、そういう評価は子供心にどう思われてましたか?

「バカだなぁ」と思ってましたね。タモリさんのテンションは変わらないと思われがちですけど、タモリファンからしたら、あんなに起伏がある人っていないわけですから。本当に興味がない時と、ご機嫌な時と、あの黒いサングラスの下の表情が全然変わる。ご機嫌な時のタモさんが与えてくれるあの多幸感というのを分からないというのは、本当に心が貧困な人たちだなと思いましたね(笑)。

――他に好きだった芸人さんとかはいますか?

 藤井隆さんが大好きでしたね。ぼくは関西出身なので、「吉本新喜劇」が放送されてたんですよ。そこに本当に若手の若手で出てきた時からこの人面白いと思って、ずっと見ていて。『Matthew's Best Hit TV』も『あらびき団』もそうですけど、藤井さんが関わるものは、やっぱりエッジの効いたものが多かったですね。

 

――ダウンタウンやとんねるずは世代的にズレている感じですか?

『ダウンタウンのごっつええ感じ』はモロに世代で、好きでしたねぇ。あとは『HEY!HEY!HEY!』。やっぱフジテレビですね。TRFとか、吉川ひなのさんの絡みとか、もう死ぬほど笑って。VHSに録って繰り返し見てましたね。

 あと、(明石家)さんまさんの番組も好きでしたねえ。『さんまのまんま』とか『さんまのスーパーからくりTV』……、どんどん出てくる(笑)。なんだかんだ言って、「BIG3」も好きなんですよ。さんまさんと天然ボケの人の相性が抜群なんですよね。だからタモリさんといい絡みをする人、さんまさんといい絡みをする人、たけしさんといい絡みをする人ってやっぱりそれぞれタイプが違うんですよ。

――「BIG3」が揃ったゴルフ(『タモリ・たけし・さんまBIG3 世紀のゴルフマッチ』)とかありましたね。

 ああ、でも「BIG3」が揃うと逆に見ていてツラいんですよ。どうしてもパワーバランスが2対1になっちゃってタモリさんが孤立しちゃう。ぼくは“タモリさん派”なので、「タモリさん可哀そう」ってなってましたね。タモリさんとたけしさん、タモリさんとさんまさん、さんまさんとたけしさんっていう風に、それぞれ2人の絡みなら面白いんですけど。