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宮坂 学
2017/02/10

ヤフー「週休3日」と「業績向上」を両立する方法

ヤフー宮坂学社長が語る「週休3日制」の真意 #5

source : 文藝春秋 2017年1月号

genre : ビジネス, 働き方, 企業, 経済, ライフスタイル

働き方の選択肢を増やし、社員が幸せに働ける環境を作る。ヤフー宮坂学社長は、「働き方改革」の先に何を見据えているのか。それは、社員のコンディショニングや行動を「データ化」し、より「効率のよい働き方」を実現することだった。(出典:文藝春秋2017年1月号・全5回)

過去の記事はこちら第1回第2回第3回第4回

「見える化」で効率アップ

 データを活用した社員のコンディショニングや行動の「見える化」にも期待しています。もちろん、自分の行動データを会社に把握されるのは気持ち悪いと感じる社員も少なからずいるはずなので、開示してもらう際には慎重に進めなければなりません。しかし社員の行動データから何らかの傾向が見えてくれば、コンディショニングと仕事との関係が明らかになる。たとえば社内を歩き回っている人と、半径5メートルしか移動していない人で、成果に差があるのかどうか。「見える化」を進めると、おもしろいことがわかる予感がしています。

 そもそも私はデータマニア。ランニングを始めて十数年、毎日心拍数や血圧などのデータを取っているので、自分の体調パターンについては知り尽くしています。深酒をした翌日は血圧が上がることが多く、朝のランニングをサボると、1日中体調が悪い(笑)。それなら、少し寝不足でも頑張って走ろうか、と意欲が湧いてくるのです。

信頼できるのは感覚よりデータ

 ヤフーでは、評価でも「見える化」を進めています。数値目標によるパフォーマンス評価のほか、上司や部下、同僚によるバリュー評価を行い、360度、全方向から個人の働き方を評価します。数値目標は正直、時の運に左右される面もありますが、習慣は比較的ブレません。厳しいようですが、チームプレーは得意だが自分をスキルアップする努力は弱いなど、行動に対するバリュー評価は仕事にまつわる習慣に対する評価でもある。社内で多くのデータが集まれば、優秀な人がどのような習慣を持っているかが可視化できる。信頼できるのは感覚よりデータ、というのがマルチビッグデータカンパニーであるヤフーのポリシーです。あらゆる場面で「見える化」をサポートするIoTが進めば、より効率のよい働き方が実現するはずです。

 

自由と業績。2つの上を目指す

 企業にとって最低限の目標は、生き残ること。ヤフーの前に勤めていた会社は赤字でボーナスが出ないなど、業績悪化による不幸な連鎖を目にしてきました。幸い、現在のヤフーはしっかりした屋台骨に支えられ、企業として太い根を張っています。ワンステップ上のチャレンジをする土台が築かれていると言ってもいい。

 そのひとつが働き方の改革です。親会社であるソフトバンクの孫正義会長からは、「テクノロジーの活用はいいけれど、人間は易きに流れるから、注意するように」と釘を刺されました。孫さんが危惧するように、自由がゆるみにつながり業績が悪化しては本末転倒です。自由と業績、ふたつの向上を目指すミッションは簡単ではないでしょう。それでもチャレンジしてみたい。

 とはいえ現実には残業している社員もいますし、有休取得率も100%ではない。私も忙しい毎日を送っています。週休3日の前に、まず私自身が有休をきちんと消化して、幸せな働き方を実践しなくてはいけません。

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