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“狂犬”マティス――中国・北朝鮮にその牙をむくか

「米国は100%、安倍首相と日本国民と肩を並べて、歩みをともにする」

 今月3日、ジェイムズ・マティス国防長官(66)が、トランプ政権の閣僚として初来日した。戦略核部隊を含む米国の全軍に対する指揮機能を持つ国家空中指揮センター「E-4B」で横田基地に降り立ったマティス氏は、安倍首相とおよそ50分にわたり会談。

 日米安保条約の重要性を確認したほか、尖閣諸島が同条約の適用範囲であるとして、冒頭のごとく明言した。

「大統領選中のトランプ氏が演説で『日本は自国の防衛費を半分しか負担していない』などと語っていたため、マティス長官の発言に注目が集まりましたが、会談後に行なわれた会見で『日本の(駐留費の)分担は他の国のモデルになる』と評価しました」(防衛省担当記者)

 2013年の退役まで44年間を海兵隊で過ごしたマティス氏は、“狂犬”の異名で知られる。過去には「礼儀正しいプロフェッショナルであれ。だが、相手を殺す準備もしておけ」「人を撃つのが楽しい時もある。正直に認めるが乱闘騒ぎが好きだ」などと発言し、物議を醸した。

 独身を貫き、子供もいないことから「戦う修道士」とも称されるが、一方で軍人時代から数千冊の蔵書をもち、愛読書としてマルクス・アウレリウスの『自省録』を持ち歩くほどのインテリでもある。

「官邸サイドは、“今回は、狂犬とインテリの実務家、どちらのマティスか”と、少なからずナーバスになっていたようですが、まずは胸を撫でおろしたようです」(同前)

稲田防衛相、岸田外相とも会談 ©共同通信社

 その背景には、アジアの重要性をトランプ政権が認識していることがあるという。

「とくに北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の可能性を重く見て、トランプ政権内でのアジアの優先順位は上がっています。マティス長官は米上院の公聴会で北朝鮮のICBM開発を『深刻な脅威』と位置づけ、軍事的手段を含むあらゆる手段を排除しないと発言しています」(在ワシントン特派員)

 一方で、マティス氏が尖閣問題に触れたことに対して、中国政府は強く反発。米国に対して「(アジア情勢を)不安定化させないよう要請する」との声明を発表した。

“狂犬”は今後、アジアで牙をむくのか。