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五箇 公一
2017/02/28

ダリに影響を与えたカマキリ。そんな虫、他にもいますか?

五箇さんに聞いてみた。

Q カマキリみたいに芸術家に影響を与える虫っていますか?

 カマキリの雌は一連の動作のあと雄を食べると聞いたことがあります。そしてこの話は画家のダリが、ミレーの「晩鐘」という絵画を解釈するにあたり、根拠として用いている話です。女性のポーズは無意識の性的欲求を示していて、男性が帽子で股間を隠しているのは男性の性的抑圧を示している――みたいな解釈です。

 カマキリみたいに衝撃的な行動をとり、かつ芸術家など世間に影響を与える昆虫がいれば教えてください。(20代・女性・大学生)

ミレーの「晩鐘」 ©getty

A ダリはアリにもインスピレーションを受けたようです

 結論からいえば、ダリを超える昆虫モチーフ・アーティストは、知りません。

 サルバドール・ダリによるミレーの「晩鐘」に対する解釈は実に独特で、奇抜といえます。恐らく、この「晩鐘」に描かれている、手を合わせてうつむき祈りを捧げている女性の姿に、カマキリのカマを構えたポーズを重ね合わせるなんて発想は、ダリぐらいにしかできないのではないでしょうか?

 ちなみにダリの作品でよく用いられるモチーフのひとつにアリがあります。ダリにとってアリは死の象徴なのだそうです。なんでも、子供の頃に従兄弟から譲り受けた瀕死のコウモリを秘密の場所に隠しておいて、ある日、コウモリを見に行ったら、死にかけたコウモリにアリが群がっている状態を見て「アリ」=「死」というイメージが出来上がったという話があるとのこと。

 どうやらダリは幼少期から、昆虫類の独特の姿形や行動というものを観察するに連れ、その異質性を敏感に感じ取り、強烈な芸術的インスピレーションを発達させてきたものと推察されます。昆虫学者である自分もいつの日か、そんな芸術的インスピレーションに目覚めて、面白い作品をつくってみたいと夢見ております……。

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