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あなたは安楽死に賛成? 識者の過半数が「賛成」の衝撃

「死ぬ権利」はあるのか

 安楽死の是非を問うアンケートで、識者の過半数が「安楽死」賛成――。「文藝春秋」3月号において、寄稿者を中心に行ったアンケートで驚きの結果が明らかとなった。

©共同通信社

「文藝春秋」編集部では、脚本家の橋田壽賀子氏(91)の論考『私は安楽死で逝きたい』(2016年12月号)が大きな反響を呼んだことを受け、寄稿者を中心に146名の識者に安楽死の是非を問うアンケートを送付、60名の回答を得た。

 アンケートの内容は「A・安楽死に賛成/B・尊厳死に限り賛成/C・安楽死、尊厳死に反対」という三つの選択肢から、一つを選び、理由を併記してもらうというもの。

 今回のアンケートでは、「安楽死」の定義を〈回復の見込みのない病気の患者が薬物などを服用し、死を選択すること〉、「尊厳死」の定義を〈患者の意思によって延命治療を行わない、または中止すること〉とした。

 その結果、「A・安楽死に賛成」と回答したのが、過半数を超える33名、「B・尊厳死に限り賛成」が20名、「C・安楽死、尊厳死に反対」と回答したのは4名だった。「回答せず」も3名いた。

「A・安楽死に賛成」と回答した理由として多かったのは、「自分の死は選ぶ権利がある」という主張だ。

伊東四朗氏

〈生まれた時はともかく逝き方を選ぶ権利はあってもよいのでは〉(伊東四朗氏)

〈「死の選択」も、個人の自由のうちに含まれると考えるからです〉(野口悠紀雄氏)

「B・尊厳死に限り賛成」を選択した理由には、“恣意的に命を奪う手法”としての安楽死への抵抗感が滲む。

〈安楽死と尊厳死、さらには自殺と自殺幇助などの線引きがきちんとできるのかどうか不安です〉(あさのあつこ氏)

〈本人は「積極的な死」に満たされても、遺された人はその「自死」が一生頭から離れないだろう〉(内館牧子氏)

「C・安楽死、尊厳死に反対」を選んだのは4人。ALS(筋萎縮性側索硬化症)で闘病中の学習院大学名誉教授の篠沢秀夫氏からは、次のような回答が寄せられた。

篠沢秀夫氏

〈(平成)二十一年四月には人工呼吸器をつける決心をして、この病気に負けまいとの思いで暮らしてきました。最後まで闘いぬくという覚悟で呼吸器をつけたので、安楽死など病気に負けることになるので絶対に望みません。考えることもありません〉

 アンケートは、誰一人として同じ理由はなく、胸を打つ内容のものが多かった。高齢化社会を迎え、「終活」が関心事となった現代。これまでタブー視されてきた「安楽死」「尊厳死」をめぐる議論も、国民が真剣に向かい合う時期が来ているのだろうか。

「文藝春秋」3月号では、同アンケートの詳細のほか、橋田氏と医師・鎌田實氏の安楽死をめぐる対談、海外の安楽死事情ルポなどを掲載している。


この記事の全文は「文藝春秋」2017年3月特別号でご覧ください。