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清武 英利
2017/02/24

銀座警察が消えた街 #4

50年後の「ずばり東京」――見栄と風儀と痩せ我慢の街

違法民泊が進む銀座

 民泊は、ホテルや旅館ではない住宅や一般の空室に旅行者を泊めることを指している。無料のホームステイとは違って収益目的で行われており、個人宅と旅行者をつなぐインターネット民泊仲介サービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」の登場で、利用者が急増している。現在、国内で2万件を超す部屋が旅行者や外国人に民泊として提供されているといわれるが、その大半は無許可の「違法民泊」と見られ、大儲けした者の中には旅館業法違反で逮捕される者も出ている。有料の宿泊施設は旅館業法などの規制を受け、防犯や防火、衛生面などで様々な基準を満たしたうえ、保健所などの許可を受ける必要があるのだ。

 その違法民泊が銀座でも進んでいる。12月初旬に「Airbnb」の仲介サイトで銀座地区を検索してみると、143部屋の「民泊」がヒットした。規制や批判はどこ吹く風のヤミのホテルだ。一番多い宿泊代金の価格帯は1万円後半から2万円台。銀座2丁目の松屋銀座裏には、「一泊2万37円で、宿泊可能人数は最大6人」という違法民泊マンションもある。

©iStock

パラレルワールド

 銀座8丁目には「1泊10万69円」というのもあった。黒川紀章が設計したカプセル型の集合マンションの一室である。「収容人数は2名」。目ざとい誰かが又貸ししているのであろう。1年も又貸しを続けると、大変な金額が転がり込んでくる。実際にかなり長く続けているらしく、過去の宿泊者が書いた「レビュー」は123件に上っていた。次のような書き込みもあった。

〈以前から気になっていた場所に宿泊することができて、とても貴重な体験になりました。想像していたよりも立て付けなど古くなっていましたが、日本人でもどこか海外旅行に来た様な非日常感を味わえる面白い場所だと思います。鍵の受け渡しや注意事項など簡潔で分かりやすく説明いただいたので、安心して利用することができました。タオルなどのアメニティもきれいにそろえられていて、部屋はコンパクトですが窮屈感はありませんでした。お風呂はお湯が出ないとのことで、近くの銭湯を利用しました〉

 秘密めいた鍵のやり取りがあり、風呂も使えないのに多額の料金を取る。そんな銀座ヤミホテルが、外国人や旅行者とネットでつながっている。

 そこは、銀座通連合会やヤクザ社会も知らない、銀座のパラレルワールドである。

「あるとしたら大問題ですね。銀座には2つ目のカプセルホテルができてしまって、これを何とか規制しようと頑張っているところなのに」

 銀座デザイン協議会事務局長で、銀座の街物語を書き続けている竹沢えり子の顔が曇った。

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