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専門店で体験! 補聴器選びのファーストステップ

もの忘れと聞こえ特集

補聴器を買うのは初めてという方も多い。そこで今回、3人のシニアが、読者に代わって補聴器専門販売店を訪問。補聴器選びの様子をレポートする。

白を基調にした明るい雰囲気の店内
私たちが訪問しました!古関順一さん(77歳)、妹・京子さん(70歳)、妹・令子さん(64歳)

 3人が訪ねたのは、JR柏駅すぐそばにある柏補聴器センター。国内外のメーカーを幅広く扱う補聴器専門販売店である。賑わう待合室を見て、京子さんは「今は補聴器を使っている人って多いのね。お店もおしゃれで居心地がよさそう」と安心した様子だ。最初に通されたカウンセリングルームで、同店の認定補聴器技能者、岡田英敬さんが対応してくれた。

「補聴器選びでは、まずお客様の聞こえの悩みやライフスタイルについて、しっかりとお話を伺うことが大切です。例えば、家で会話ができれば十分という人もいれば、まだ商売をしているから数字を聞き間違えないよう、高性能な製品が必要という方もいます。長く使ってもらうには、その方の聴力や暮らしに合わせた製品選びが大切なんです」 

 3人の中でも最年長の順一さんは、趣味や余暇を活動的に過ごすアクティブ派。聞こえを気にかけているのは、父親が難聴に苦労していた姿が記憶に残っているからだ。
「親父は耳が遠くなってから引っ込みがちになっていました。当時の補聴器はピーピー音もひどくて、相当辛かったんじゃないかな」と振り返る。「自分は大丈夫だとは思うけど、テレビの音量はちょっと大きくなってきた。補聴器を使うなら早いうちにと思っています」

柏補聴器センター 認定補聴器技能者
岡田 英敬 さん

 次のステップは、聴力レベルの正確な把握である。やや緊張した面持ちで聴力測定に臨んだ3人だが、岡田さんから「みなさん、しっかり聞き取れています」との太鼓判をもらいほっと胸をなで下ろしていた。ただし岡田さんは「この先、聞こえにくくなったと感じたら要注意です」と忠告する。具体的には、同じことを『2回』聞き返すようになったら、聴力低下のサインだという。

 岡田さんがこう念を押すのは、難聴による聞き間違いを放置していると、曖昧な理解と生返事が習慣化してしまうからだ。「会話が続かなくなる(トンチンカンな返事をしてしまう)まで音声の誤認識が拡大していくと、補聴器を付けても健全なコミュニケーションを取り戻すのに時間がかかってしまいます。そもそも補聴器に耳が馴染むには、毎日数時間は補聴器を装用するよう意識するなど、地道な訓練が必要。聞こえに悩みがあれば、早めに耳鼻科や補聴器販売店を訪ねてほしいですね」

聴力測定の数値を記録した「オージオグラム」を基に補聴器を検討する

 カウンセリングや聴力測定、耳鼻科での診断によって補聴器の有効性が明らかになると、いよいよ補聴器を選ぶことになる。3人はまだ補聴器が不要ということで、今回はサンプルとして最新補聴器を見せてもらった。試しに順一さんが耳に着けてみると、ハウリングはなく「ぜんぜんうるさくないし、快適だね」と笑顔。令子さんも「父が付けていた20年前の製品に比べると、大きさは半分かそれ以下。デザインもおしゃれで、これなら使うのも前向きになれそう」。

 最新のデジタル補聴器は、岡田さんたち技術者がパソコンを使い、一人ひとりオーダーメードで出力を調整する。しかもこれら購入にあたってのカウンセリングや聴力測定、将来の聴力変化に伴う調整費用などは無料。製品価格は「補聴器は両耳をセットで着けていただくのが効果的なので、両耳で30万円からの製品が多いです」(岡田さん)というように、決して安くはないが、京子さんは「製品の性能と丁寧な対応ぶりを見れば、納得です」と話す。

 

「この先耳が遠くなっても、最新の補聴器と専門家のサポートがあれば安心できそう」と口を揃える3人に、岡田さんはこうアドバイスを寄せた。
「耳が遠くなっていても、家族や周囲の人がフォローしているうちは自分では気付きにくいものです。普段から聞き返しなどに気を付けて、困りごとがあればいつでも、相談にいらしてくださいね」

 近所の販売店だと通いやすい。家族や友人と訪ねてみよう。


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