昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

JASRACは「やり過ぎ」? 音楽教室から著作権料徴収へ 

JASRACの入るビル(東京都渋谷区) ©共同通信社

「音楽が好きで入りましたが、実際に働いてみると『この仕事は逆に音楽文化を衰退させているのでは』と思うことがあるのも事実。特に今回の問題については内部にも疑問の声は少なくないのです」

 こう話すのはJASRAC(日本音楽著作権協会)に勤める30代の職員。“今回の問題”とは、JASRACが音楽教室から新たに著作権料を徴収する方針を示した一件だ。業界のみならず、宇多田ヒカルら受益者側の複数のミュージシャンも不満を表明した。

 JASRACは営利目的での楽曲使用に対し、著作権料を徴収し、作詞家や作曲家ら著作権者に分配する一般社団法人。2015年度の徴収額は1116億円に上る。著作権者が自身で著作権料を回収する手間を省き、創作に集中できる環境を整えることで音楽文化発展に寄与してきた。

 一方で「著作権料の算定基準が不透明だ」「著作権一辺倒で街から音楽が消える原因を作った」など、批判の対象ともなってきた。

「協会は今回、音楽教室での楽曲使用は著作権法の『営利目的』『公衆に対する演奏』に当たると判断。著作権料の支払い義務が発生すると主張しました」(司法担当記者)

 これまでもコンサートの他、カラオケでの歌唱に対しても著作権料を徴収してきたが、その対象を拡大したのだ。

「これに対し、ヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など音楽教育の事業者側は『音楽教育を守る会』を結成。『生徒指導のための楽曲使用は“公衆に対する演奏”には当たらない』『著作権料を支払えばレッスン料が上がり生徒が減る。文化発展を目的とする著作権法の趣旨に反する』と反論しています。訴訟も辞さない構えです」(同前)

  JASRACの浅石道夫理事長は日経新聞電子版のインタビューで、「権利者にお金が回ることが、新しい作品を生むのです」「(著作権法は)教育だから演奏しても自由だとも言っていません」(2月11日付)と正当性を訴えた。両者の溝が埋まる気配はない。

「問題の背景には、慢性化したCD不況や若者の音楽離れによる収益の先細りがある。著作権はしっかり守られるべきですが、今回の方針はやり過ぎだとの指摘もあります」(前出・司法担当記者)

 訴訟になった際に司法がどう判断するか。注目が集まる。
 

はてなブックマークに追加