6480円のビフカツサンドは、どれだけおいしいのか？

いよいよその時がやってきた

　いよいよ6480円にかぶりつく時がきた。さあ、ぶ厚い肉を迎え撃ってやるぞと気合い満点噛みつけば、肉はふにゃり。カツとは思えぬ驚愕のやわらかさで前歯はもてなされ、無抵抗状態で難なくちぎれていく。と同時に、じゅわりと肉汁飛び出る、旨味のスポンジ状態。肉香が本能を刺激して理性を狂わし、お口の中は甘さのお花畑に変わる。

　行列ができる食パンのお味はどうか。ぷわーんと香ばしさ、長く熟成したパンならではの甘さ。そして、特筆すべきは食感。表面だけぱりっとして中はむにゅ。あんなに強く焼いたのになんでこんなにやわらかいのか。牛肉とともにむにゅむにゅと揺れ動いて、そのやわらかさを強調しているではないか。

　高田店長によれば、やはりトースターがものを言っていると。

「ポップアップ式は熱源と熱源の距離が近く、直に熱がパンにあたって早く焼けるので、水分が閉じ込められるんです」

　やわらかく、トーストしてぱりっとし、歯切れも口溶けもいい食パンがあってこそ。いい肉を食べられるお店はたくさんあるだろうし、おいしい食パンを売っている店もまた多い。だが、その両方でこれだけのハイクオリティを実現しているのはすごい。6480円の価値はあると思った。

　なお、カフェに入るには予約が必須。2時以降の時間なら、予約なしで入れるときもあるとのこと。3種類の食パンの食べ比べセットがあり、これなら行列を作らなくても、食パンを味わえる。食パンを買うには、平日は30～50分、週末は1～2時間待ちという狭き門。狙い目は朝。10時の開店に合わせて3種の食パンがすべて用意されるので、焼き上がりを待つことなく買うことができる。

写真＝池田浩明