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人呼んで“10人戦隊5厘ジャー”部員10人の不来方高校がセンバツにやって来る

10人中9人は軟式出身  ©共同通信社

 2月15日は、3月19日に開幕する春の選抜高校野球の選手登録期限だった。

「希望者がいれば対応を考えよう、という感じで、是非入部して下さい、というのはありませんでした」

 そう語るのは、21世紀枠で選出された不来方(こずかた)高校(岩手)の赤坂健太郎副部長。

 同校は、選抜出場が決定した時点で大会史上最少タイの部員10人であることが話題となっていた。結局、新たな“助っ人”は現れなかったが、赤坂副部長はこう語る。

「新チーム発足時から10人でやるのは分かっていたことで、甲子園出場が決まったからといって何も変わりません。“10人”という部分に注目され、没収試合のリスクを指摘されていますけど、その状況でここまでやってきた我々は不安には思っていないんです」

 県立高校で少人数ゆえ全てを鍛えるのは難しい。そこで小山健人監督は攻撃力強化に特化し、練習のほぼ全てをバッティングにあててセンバツ出場を勝ち取った。

「地区予選では、1回戦敗退。そこから敗者復活を勝ち上がり、県大会決勝にまで進み、昨秋の東北大会に出場しました」(高校野球担当記者)

 東北大会では、部員100人を越える超強豪校・八戸学院光星(青森)を相手に0対2の接戦を演じた。現在は愛知の強豪・東邦高校のグラウンドを借りて合宿練習中だ。

「不来方は昨年の岩手国体でホスト役として、東邦のお世話をしたという縁があった。この期間、雪でグラウンドが使えない不来方の申し出を東邦が快く受け入れたそうです」(同前)

 甲子園で少人数のチームと言えば、部員11人で74年選抜大会準優勝を果たし、“さわやかイレブン”と称された池田(徳島)などが印象深い。不来方は昨秋の東北大会に全員5厘刈りで現れ、“10人戦隊ゴリン(5厘)ジャー”と呼ばれたという。

「人数では劣ってるからこそ、相手を威嚇するために、エースで4番の小比類巻圭汰主将は『戦略的にやりました』と。試合開始の整列時から勝負は始まっているというわけです」(ベテラン記者)

 知恵と度胸で生き残る小国の戦国武将を思わせる“10人戦隊”不来方。決戦の地・甲子園に、その戦いの爪痕を残すことができるか。

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