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吉田栄作「40代後半の表現者として、岐路にある」

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 2006年の初舞台「やわらかい服を着て」以来、芝居にコンスタントに出演し続ける吉田栄作さん。今稽古中なのは、3月から始まる、こまつ座の音楽劇「私はだれでしょう」だ。終戦翌年の日本放送協会(NHK)の一室で、戦火ではぐれた家族等を捜すラジオ投稿番組「尋ね人」を制作する面々を描く。

 吉田さんが演じるのは番組の監督官で日系2世のアメリカ陸軍少尉・フランク馬場だ。

「彼はカリフォルニア移民の息子。僕は90年代の休養中にカリフォルニアに滞在した。またフランクは神奈川県・煤ヶ谷(すすがや)で少年時代を過ごしましたが、ここは現・清川村で僕の生まれ育った秦野市のすぐそばです。話をいただいた時、なにか、僕から遠くない人、という印象を持ちましたね」

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 2つの国籍を持つフランクが、原爆を扱おうとすると番組に占領軍の圧力がかかってくる中で、どういう行動をとるかが芝居の見所の1つ。

「同じ状況で自分が同様の選択をするかは分かりませんが、彼がそう動いてしまうことは、稽古をしながら、ひしひしと伝わってきます。去年『岐路に立ち』という曲を書きましたが、僕自身、40代後半の表現者として、50代を迎えるうえで岐路にありますね」

 吉田さんは舞台をスポーツの集団競技にたとえる。

「演出家が監督であり、動けない人が一人でもいたら出来るようになるまで皆が付き合う。当日スタンディングオベーションをいただけたら、喜びは格別です」 

INFORMATION

音楽劇「私はだれでしょう」
問い合わせ:こまつ座 03-3862-5941
http://www.komatsuza.co.jp

吉田栄作「40代後半の表現者として、岐路にある」

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