昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ネパール大地震で被災した近藤謙司氏(国際山岳ガイド)の体験。

海外で“もしも”のとき、あなたは大丈夫?

こんどうけんじ
1962年6月30日生まれ。23歳で冬季エベレスト北壁で8450mに到達し、世界最高到達点を記録。エベレスト登頂6回。1998年、山岳ツアーの旅行会社アドベンチャーガイズを設立。国際山岳ガイドの資格を持ち、山の日アンバサダーも務める

 海外で緊急事態に遭うなんて、めったにないこと。多くの人がそう油断していないだろうか。

 2015年4月25日、国際山岳ガイドの近藤謙司さんは、エベレスト登山中にネパール大地震に襲われた。自社が公募した登山隊とともにベースキャンプに滞在していたときのことだ。その日朝9時、先に帰るトレッキング隊を見送ると、近藤さんはテントの設営作業に追われた。午前11時56分、突然、大地を覆う氷河が不気味に揺れた。

「まさかネパールで地震なんて。最初は足もとの氷河が陥没したのかなと思ったんです」と、近藤さんは当時を振り返る。

 慌ててテントを飛び出すと、周囲の山から異常な轟音が聞こえた。雪崩だ! 走りだしながら、「テントに入るな!」と大声で叫んだ。近くの石で組んだお祈り台の陰に隠れた瞬間、すさまじい爆風が通りすぎた。その間、わずか数秒。マグニチュード7.8、ネパールでは81年ぶりの大規模な地震だった。

 幸い、ネパール人スタッフ2人の軽傷以外、全員無事だったが、1000人以上いたキャンプ地は死者19人の大惨事となった。衛星電話が通じると、すぐに日本とカトマンズの事務所に連絡。カトマンズの事務所から日本大使館に安否情報を伝えた。ちなみに大使館では、5月6日までに邦人の在留登録者および短期渡航者(3カ月未満)約1600人の安否確認を完了し、2人の死傷者が報告された。

猛烈な爆風で、ベースキャンプのテントや登山用具などが最大200m近く吹き飛ばされた

 数時間後、先発したトレッキング隊とも連絡がとれ、全員の無事が確認されたが、問題は帰国便の確保だった。麓のルクラの飛行場は下山した登山客でごった返し、カトマンズ便も満足に飛ばない。そこでネパール東部のビラトナガルに飛び、迂回してカトマンズに入る計画をたてた。こうしてトレッキング隊は、被災して1週間後の5月2日に無事帰国することができた。

 一方、登山隊はゆっくり下山することにし、途中の村々で登山用の薬や食料を被災者に配った。目標のエベレスト登山はできなかったが、少しでも被災民の復興の励みになればという思いだった。近藤さんが帰国したのは、一カ月後の5月20日。

「緊急時は、情報が重要です。その点、衛星電話が使えたのは幸いでした。いち早く安否確認ができ、ルクラやカトマンズの情報も正確に得られましたから」

 海外では、いざというとき迅速・的確な情報が何よりも重要。海外に行くときは外務省の無料メール配信サービス「たびレジ」を利用すれば、渡航先の最新安全情報を得られる。近藤さんも今では、衛星電話に加え「たびレジ」も情報を得る必須アイテムとして活用しているそうだ。

INFORMATION

「たびレジ」が海外の安全情報をお届け!

「たびレジ」は外務省が行っている海外旅行者向けの無料メール配信サービスで、旅行日程や滞在国、連絡先を事前登録しておくと、現地の最新の安全情報などを日本語で受け取ることができます。また、企業・団体等向けに、出張者情報などを自動登録できる「データ連携」も行っています。

  • 安心ポイント1 最新の安全情報の提供
    大使館・総領事館が配信するメールで、現地の最新の安全情報を日本語で知ることができます。
  • 安心ポイント2 緊急時の連絡
    旅行先の国・地域で大規模な事件・事故・災害などが発生したときは、登録してある連絡先に連絡が届きます。
  • 安心ポイント3 お役立ち情報提供
    旅行日程を登録すると、旅行先にある大使館・総領事館の連絡先や旅行先の安全基礎情報などが届きます。

「たびレジ」メール例

(上記、一部抜粋)
(上記、一部抜粋)

登録方法

 

※海外でメールや電話連絡を受信する際は通信料が必要となる場合があります。 ※機種によっては旅行先でメールを受け取れない場合があります。

■お問合せ先

外務省領事局政策課03-5501-8000(内線5370)
はてなブックマークに追加