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錦織圭“ラケット破壊事件”、珍しくイライラした原因

リオ・オープンで初戦敗退、うなだれる錦織 ©共同通信社

 2月21日(現地時間)に行われたリオ・オープン1回戦で錦織圭(27・世界ランキング5位)は、地元ブラジルのトマス・ベルッシ(29・同76位)にストレート負けを喫した。

「ここ数年で最悪の試合」と錦織は振り返ったが、メディアの注目は試合中のある“事件”に集中した。第1セットを奪われた直後、錦織がコートにラケットを叩きつけ、グニャリと折り曲げてしまったのである。この行為で審判から警告を受け、観客からはブーイングを浴びせられた。

 海外メディアは、〈ツアーで最も温厚な選手の1人〉の珍しい場面として、〈感情を抑えることができなかった〉などと報じたが、錦織には“前科”がある。10年の上海マスターズ予選で敗れた際にも、ラケットを折っているのだ。スポーツライターの武田薫氏はこう語る。

「優等生イメージがありますが、わりとカッカするタイプだし、ラケットを投げつけるのも珍しくない。試合に集中すると、よくも悪くも周りが見えなくなる。例えば休憩中にタオルをぼんぼん使って、周りがタオルだらけになっても本人は気にしない。またそういうときほど強いんです」

 今回は、その集中力が裏目に出た格好だが、なぜそこまでイライラしたのだろうか。

 ヒントは錦織の試合後の次のコメントにあるという。

「(前週のアルゼンチン・オープンと違い)重いボールに変わり、コートも硬く、跳ねて、対応できなかった」

 スポーツ紙デスクが首を傾げる。

「コートやボールの違いは事前に分かっていたはず。本来ならコーチなどが調べて、戦略を立てるべきです。もしかすると、今の“チーム・ニシコリ”は、そこが機能していないのでは」

 そもそもこの時期に南米のクレーコートの2大会に出場したのは、5月の全仏オープン対策のはずだった。

「それがブエノスアイレスでは決勝で敗れ、これで決勝6連敗。さらに、今回の“ラケット事件”で、全仏に向けて不安が残りました」(同前)

 前出の武田氏もこう語る。

「トップ5を死守するのも厳しい戦いになっている。思い切ってコーチを替えるくらいの“刺激”が必要でしょうね」

 ラケットを折るより先にやるべきことはありそうだ。