昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

鈴木 涼美
2017/03/15

副業はやめたほうがいいですか?

鈴木涼美さんに聞いてみた。

Q 3つの仕事をかけもち中。1つに絞ったほうがいいでしょうか?

 トリプルワークを辞めて自分の事業1本で勝負するべきか悩んでいます。自分でサービス事業を立ち上げて3年目。そのかたわら現在ゲーム会社の派遣と業務委託のライター業もやっています。つまり3つの仕事をかけもちしている状態なのですが、今年経営者である私の師匠から「他に保険をかけているようでは大成しないから自分の事業1本にしなさい」と言われました。私は派遣事務もライターも違う脳を使い楽しい仕事なので迷っています。どうしたもんでしょうか。(36歳・女性)

A 師匠の意見もひとつの意見。バランスをとっては?

「大成しない」という師匠の意見もよくわかるのですが、その方の意見が迷う動機であれば、それほど深刻に考えず、今しているお仕事を続けられる限りは続けていていいと思います。そればっかりは本当に人によるのです。片方の仕事が忙しい方がもう片方の仕事が捗る、という人もいれば、一つのことに没頭するとものすごい集中力を発揮する人もいます。別の作業をしながらの方がいいアイデアが浮かぶ人もいれば、一度にいろいろなことを考えるのがストレスに感じる人もいます。その人ができる仕事量のポテンシャルも千差万別です。

 例えば後には戻れない状況に自分を追い込まなければその道を極めることはできない、ということを言う人がいますが、私はそういったすでに成功している人の精神論を真に受ける必要はないと思うのです。もちろん、先人の経験談や意見は尊いものですが、自分の経験を過剰に一般論に落とし込む人はそれほどロクな人ではありません。職業によっても違う、個人によっても違います。ですから師匠のご意見はありがたいものとして聞いておいて、もし知り合いに二足のわらじで成功した人がいたら、その人の意見も聞いてバランスをとったらいいかもしれません。

 私の場合は、本業副業という区別よりも、一つの価値観の世界にいることを窮屈に思ってしまうタイプでした。キャバクラは楽しいけれど、キャバクラ嬢的な価値観にのみ染まってしまうとそれはそれで貧困、新聞記者も楽しいけれど、新聞社の中でしか通用しない言語を話すようになるとそれはそれで視野が狭い。そういった心持ちで生きてきたので、例えばお給料の振込もとがいくつあろうと気にしません。でも、そういったいろいろなコミュニティの空気を吸うという経験が、作家としていろいろな人に向け、いろいろな空気感を言語化する際に、とても役に立っています。

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム

はてなブックマークに追加