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鈴木 涼美
2017/03/22

15回引っ越しした鈴木涼美さんの「東京の現実」

鈴木涼美さんに聞いてみた。

Q 上京を諦めたいので、厳しい東京の現実を教えてください

 昨年突然、上京したくなりました。好きな芸能人と同じ街で暮らしてみたいというだけの理由です。現実的には難しそうなので東京で暮らしている方に東京の現実を教えてもらって、なんとか諦めたいです。よろしくお願いします。(30代・女性)

A もしよろしければ東京へ。10日住めばそこが地元になります

 諦めたいとのご相談にとても不向きなメッセージで申し訳ないのですが、東京にぜひ暮らしてみて欲しいです。東京は住民の叡智と欲望、理性と感性がものすごい勢いで化学反応を起こしている面白い街です。何より、例えば23区内をぐるっと一周する山手線沿いだけでも駅ごとに街の性格が違い、どこに住むかによって生活は全く違うものになります。お店の開店時間から物価、住んでいる人の服装まで違うのです。

 提案としては、東京はいろいろな望みが叶う場所ですから、あなたの事情に合わせて、1ヶ月、1週間でも住んでみることはできます。外国人向けのゲストハウスやウィークリーマンション、あるいは上層階を安価で貸し出しているラブホテルまであります。介護や仕事などいろいろな事情はあるかと思いますが、10日間だけ時間を作って、旅行ではなく腰を据えて生活してみるといいのではないでしょうか。

 10日間、というのには、生まれてから東京都内とその周辺で15回近くも引越しをしている私としての根拠があります。大抵、都内で引越しをしてその街を地元として捉えるのにかかるのが1週間から10日間だからです。最初の3日間はどこかちょっとよそ者気分で、入るコンビニもスーパーも目新しく感じ、タクシーの運転手さんに家を説明するのもままならない状態ですが、1週間たつと、堂々と地元民として歩けるようになります。

 当然、東京は家賃を始めとする物価も高く、いろいろな国の人もいて治安も不安定、仕事は厳しいし、ものすごく孤独感や劣等感、世間の厳しさを感じる都市でもありますから、1週間以上滞在してみたら、もうお腹いっぱいと思うかもしれません。人に聞くよりやっぱりそこはぜひ自分の肌で東京の暑苦しさや寂しさを感じて移住を諦めた方がいいのではないかと思います。

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