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進化するビジネスホテル、4大チェーンの「良い点」「惜しい点」

泊まりまくって分かったそれぞれの違い

2017/03/13

genre : ビジネス, 企業

note

眠りの質にこだわるなら「スーパーホテル」(ローコストタイプ)

「スーパーホテル」の客室

【優れている点】

 質の高い眠りといえば高級ホテルをイメージするが、最近ではビジネスホテルも快眠に気遣うケースが見られる。各チェーン、ベッドや枕などよく研究しているが、快眠追求のパイオニア的存在が「スーパーホテル」だ。大学や異業種企業と連携した「ぐっすり研究所」を設け快眠研究をすすめている。

 最近人気の“選べる枕”、ロビーでお好みの枕をピックアップするスタイルであるが、これもスーパーホテルがブームの火付け役。150cm幅ワイドサイズのオリジナルマットレスや枕はもちろん、照明も眠りを気遣った照度設定を意識しているという。そのスーパーホテルが、“ハイクラスブランド「Lohas(ロハス)」”も展開し、手厚いサービスに加え、さらに質の高い睡眠がとれると評判だ。

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「スーパーホテル」の選べる枕

【注意したい点】

 快眠がコンセプトだけに、例えば客室でがむしゃらに仕事をしたい場合や、煌々とした照明に安心感を覚えるという向きには物足りない客室だろう。また、スーパーホテルでは、大浴場を設ける施設もあるが、限定的なスペースの上、サウナなどの設備はない簡素なケースが多く、大浴場設置という売り文句でチェックインすると、お風呂好きには物足りないかもしれない。

 同ホテルチェーンの特色として、キーの代わりに“暗証番号が記された紙”が渡され、客室ドアノブにある暗証番号ボードをプッシュして解錠するキーレス方式を採用している。キーを保管する手間はないが、慣れないと紙を客室に置いて外出してしまったり、紛失してしまったという声もある。紙が渡されたら携帯電話などで番号を記録しておくことをオススメする。

大浴場につかりたいなら「ドーミーイン」(ハイクラスタイプ)

「ドーミーイン」の大浴場

【優れている点】

 大浴場を設けるビジネスホテルが増えた。とはいえ一部店舗のみの設置だったり、さほど広くない場合も多い。そのような中で、温浴施設が主体ともいえるコンセプトを打ち出し、大人気を博しているのが「ドーミーイン」だ。例えば、北海道旭川市であれば「天然温泉 神威の湯 ドーミーイン旭川」というように、各ホテル名に「天然温泉 “○○の湯”」と冠し、まるで温泉宿のようなイメージを打ち出している。

 ドーミーインの大浴場では、露天風呂やサウナ、冷水浴がマストアイテム。規模は別として一般的なスーパー銭湯と遜色ない充実の設備を誇る。温浴施設以外にもドーミーインの魅力は多い。そのひとつが無料の“夜鳴きそば”だ。飲んだ後ホテルへ戻り、〆のラーメンを楽しむゲストも多い。

「ドーミーイン」で提供される無料の「夜鳴きそば」

【注意したい点】

 顧客満足度は高く、温泉や大浴場のイメージが定着。人気ビジネスホテルチェーンとして人気沸騰を続けているが、ゆえに予約のとりにくいホテルとしても有名だ。有料朝食のレベルはビジネスホテルチェーンとしては高いが、ローコストタイプの無料朝食の充実には目を見張るものがあり、有料と無料のボーダーは接近しつつある。これからは例えば実演コーナーを設けるなど、下位シティホテルクラス並の付加価値が求められるようになるかもしれない。