文春オンライン

進化するビジネスホテル、4大チェーンの「良い点」「惜しい点」

泊まりまくって分かったそれぞれの違い

2017/03/13

genre : ビジネス, 企業

note

 筆者はホテル評論家としてホテルのサービスを見ることをモットーにしており、国内にあるホテルと名の付く施設に日々泊まりまくっている。近ごろ、特に進化著しいと感じるのが「ビジネスホテル」だ。

 本来、ビジネスホテルは“ローコストタイプ”で機能性重視というスタイルが基本。ところが近年、多様な付加価値を打ち出すホテルが増加してきた。「ビジネスホテルだけど広い客室がほしい」「ビジネスホテルだけど快適なベッドがほしい」「大浴場は嬉しいができれば露天風呂も」等々、ビジネスホテルとはいえ、利用者の求めるサービスは日々拡大している。チェーン間競争が激しいビジネスホテル業界にとって、顧客獲得は至上命題。利用者の要望を実現することは重要だ。このような現況から“ハイクラスタイプ”といわれるホテルチェーンも登場、人気を博している。

 依然支持率が高いローコストタイプから新たな需要を開拓しているハイクラスタイプ、それぞれの有名チェーンの、【優れている点】【注意したい点】を整理して紹介しよう。

ADVERTISEMENT

お得感を優先するなら「東横イン」(ローコストタイプ)

「東横イン」の客室

【優れている点】

 全国各地の主要駅前には「東横イン」、といっても過言ではないほど認知されているチェーン。ホテルの料金は繁閑等で変動するのは常識であり(レベニューマネジメント)、目を疑うような料金設定もみられる中、東横インは“料金変動が少ない”ことでも支持されているチェーンだ。そんな東横インはビジネスホテル業界のパイオニア的存在ともいえる。

 例えば、今や当たり前の客室に置かれた空の冷蔵庫。これを初めて導入したのが東横インと言われている。また、ローコストタイプで定番となった“無料朝食”(無料とはいえ宿泊料金に転嫁されていることはいうまでもない)。これも東横インがはじまりとされている。その他、市価より安い自動販売機やロビーにセットされた無料ミネラルウォーターサーバーなど、お得感の打ち出しも秀逸だ。

「東横イン」のロビー

【注意したい点】

 一方で、シティホテルはもちろん、アッパーなビジネスホテルでも導入が進んでいる“デュベスタイル”(ボックスタイプの掛け布団カバーを用いた羽毛布団によるベッドメイキング)の未採用や、マットレスのホールド感不足など、滞在の質を重視するゲストには物足りないかもしれない。また、豪華ブッフェメニューまで登場しているローコストタイプの無料朝食競争下にあっては比較的簡素な内容。とはいえ、必要なものを必要なだけというチェーンホテルの安心感はピカイチと言えるだろう。