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水谷 竹秀
2017/04/01

カジノは日本に必要か。マニラの日系カジノに行ってみた

マニラに和製カジノが出来ていた #1

 

出典:文藝春秋2017年3月号

 2016年12月21日、フィリピン・マニラの巨大な屋外コンサート会場は、大勢の観衆でごった返していた。ここは日系のカジノ型統合リゾート施設(IR)「オカダマニラ」の敷地内。仮オープンを祝うイベントには、ざっと見ただけでも数千人は集まっていた。

 午後8時過ぎ、共同出資者でパチスロ機メーカー「ユニバーサルエンターテインメント」(本社・東京都江東区)の岡田和生会長(74)がスーツ姿でステージに姿を見せた。

登壇した岡田会長らがボタンを押すと、頭上から火花のシャワーが吹き出した ©水谷竹秀

 司会者のフィリピン人アーティストから「ここにいる皆さまにメッセージをお願いします」と求められると、岡田会長は「私からの言葉はメリークリスマス!」と声を張り上げ、右腕を高々と掲げて笑った。

 続いてオカダマニラの幹部らも登壇。司会者がカウントダウンを唱え、岡田会長らがボタンを押すと、ステージ頭上から火花のシャワーが吹き出し、打ち上げ花火が夜空を彩った。会場に集まったフィリピン人たちは夜空に向けてスマホをかざし、上空で弧を描く光と音の共演に酔いしれた――。

夜空の花火を見上げ、スマホをかざす来場者たち ©水谷竹秀

日本のカジノ設置への一歩

 日本ではこの1週間ほど前の12月15日、野党の反発を押し切ってIR整備推進法案が成立した。

 1999年に当時の石原慎太郎都知事が「お台場カジノ構想」をぶち上げて以来、議論が続いていた日本国内のカジノ設置が、実現に向けて一歩踏み出したのだ。日本政府は東京オリンピックが開催される2020年に訪日外国人を年間4000万人、消費額を8兆円に引き上げる目標を掲げている。「観光立国」を目指す日本の五輪後の集客対策として、カジノを活用し、外国人客を誘致する考えだ。横浜、大阪、佐世保などが候補地として名前が挙がる一方、ギャンブル依存症や反社会的勢力とのつながりによる治安悪化を懸念する声も後を絶たない。

 日本企業が主体となって開設された初のIRとなるオカダマニラ。経営主体のユニバーサルエンターテインメント社は1969年、レコードの自動演奏装置「ジュークボックス」のリース事業を目的に創業。その後はパチンコ機やパチスロ機の製造へと事業を拡大し、業界最大手へ上り詰めた。2000年代に入り、米国のカジノ大手企業に投資し、カジノビジネスに本格参入することになる。

フィリピンのメディアに取材を受ける岡田和生会長 ©水谷竹秀

 その動きはやがてフィリピンへ広がり、2012年1月に着工式が執り行われたオカダマニラは、総工費24億ドル(約3000億円)と5年の歳月を掛けて仮オープンにこぎ着けたのだ。今年3月までのグランドオープンを目指している。

シンボルカラーである紫のネオンに彩られた夜のオカダマニラ ©水谷竹秀
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