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アスクル火災で激変。アマゾンとヨドバシが争う「ネット通販三国志」

火災現場で謝罪する岩田彰一郎社長 ©共同通信社

 オフィス用品通販大手のアスクルが、苦境に立っている。200億円をかけた最先端の物流センター(埼玉県三芳町)で2月16日に火災が発生し、多くの商品が未だ「出荷不能」になっているからだ。

 アスクルは、1997年に事務機器メーカーの社内ベンチャーから独立して誕生。カタログで頼んだオフィス家具や文房具が「明日来る(アスクル)」という便利さを売りに、右肩上がりの成長を続け、2017年5月期は売上高3480億円を見込んでいた優良企業だ。

 近年は、成長分野であるスーパー等で売っている飲料や食品、洗剤など日用品のインターネット通販に注力。そのため約7万品目に及ぶ商品在庫を抱えていた巨大物流センターが、火災で半分以上焼けてしまったのだ。

「東日本エリアで配送が遅れ、完全復旧は9月末までかかりそう」(アスクル関係者)

“空白期間”に乗じて、ユーザー取り込みを狙うのが、

「アマゾンと、ヨドバシカメラです。重い飲料水やかさばるティッシュ類など、日用品の売れ筋は、どこも似通っており、使いやすさが勝敗を分ける」(物流専門家)

 すでに国内1兆円を売り上げるアマゾンは、最近は首都圏のユーザーらを囲い込むために、新しいサービスを続々と始めていたところだった。

 例えばパソコンを開かなくても、ボタンをひと押しすれば、食品や日用品を自動発注できる「ダッシュボタン」。親指サイズの小型端末を昨年12月から、実質ゼロ円でバラまいている。発注から1時間後という「超速」の宅配サービスも、都市部で拡大している。

「近々生鮮食品の販売に乗り出す予定です。アマゾンの新しい物流センターでは、ロボットが24時間ノンストップで働いており、人手不足解消のお手本として、世耕弘成・経産大臣の視察が入ったほどです」(IT業界関係者)

 一方、ヨドバシカメラは物流網を自社で整備し、きめ細かい当日配送に強みがある。

「アマゾンが商品の配送を担ってきたヤマト運輸から値上げを求められている中、ヨドバシは物流に強みがあり、配送料は全商品無料です」(前出・物流専門家)

 成長する13.7兆円のネット通販市場。火事は「三国志」の運命を変えるのか。

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