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WBCで「神ってる」快進撃。イスラエル代表、躍進の理由とは

指導歴は50年を越えるウェインスタイン監督 ©共同通信社

 イスラエル代表の快進撃は記憶に残るものだった。

「正に『神ってる』。野球に限らず、スポーツの国際大会で、この国がこれだけ勝って注目されるのは初めてですよ」(スポーツ紙ベテラン記者)

 今回初めて予選を突破してWBC本大会に出場した同チームは世界ランキング41位。出場国中でも最弱とみられたが、1次ラウンド初戦で開催国・韓国を延長で破ると、台湾、オランダも撃破して3連勝。同組1位で2次ラウンドに進出し、その初戦ではキューバをも退けた。

「我々としてはホントにノーマークで、2次ラウンドの試合を放送するテレビ局は情報集めに相当苦労したようです」(同前)

 快進撃の理由として、まず挙がるのが「メンバーはほとんどがマイナーリーグの選手であり、その分、選手の仕上がり具合がいい」(スポーツ紙デスク)という声。

「マイナーリーガーはこの時期にアピールしてメジャーに昇格したいからコンディションを早めに仕上げていますし、精神的にもハングリー。メジャーリーガーを呼んでくるよりいいかも」(同前)

 どちらか一方の親が出生していればいい、というレギュレーションにより、同国出身の選手は28人中1人だけであとはユダヤ系アメリカ人。2次ラウンドからは、唯一の同国出身選手も外れたが、ユダヤの正装をしたぬいぐるみ“メンシュ”がシンボルとしてベンチ入りし、スタッフは“キッパ”という独特の帽子を被るなど「民族の結束」をアピールする。

 一方でベンチで爪楊枝をくわえているジェリー・ウェインスタイン監督の手腕を評価する声も多い。米大学野球界で長く監督を務め、通算800勝以上を挙げている。現在はコロラド・ロッキーズのスカウトを務めているという。

「五輪を2度経験していて、『短期決戦は、より細部に気を付けなければならない。ブルペンの出来ひとつで状況は変わる。できないことをやろうとしないように、できることをしよう、と心掛けてマネジメントしている』と語っています。1次ラウンドのオランダ戦で見せた1人1殺の9人継投は圧巻でした」(前出・ベテラン記者)

 名伯楽に率いられた“元最弱チーム”の“進撃”を讃えたい。