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連載桜庭一樹のシネマ桜吹雪

桜庭 一樹
2017/03/23

キングコングは少年なのだ

桜庭一樹「シネマ桜吹雪」

 皆さんこんにちは。わたしは小説家で、女です。今週から四週に二回の割合でこのコーナー(注:「週刊文春」の見もの聞きもの)に登場することになりました。松江哲明監督、安藤桃子監督、わたし、わたしの順。よろしくお願いします。

 一九三三年に製作された最初の『キング・コング』がわたしは大、大、大好きだ。彼は森(幼年期)から都市に連れ出された心優しい少年なのだ。そして怒濤の初恋! 性欲! エッでも美女に受け入れられない、俺どうしよう!?

 少年キングコングはマグマの如き激情とともにエンパイヤステートビル(男性器の象徴)に登る。が、戦闘機(社会)に撃たれ、奈落へと……。

 ラストシーンでは嗚咽が止まらなくなる。そして、またつい何度も観てしまう。

 わたしたちみんな、思春期、一度はキングコングだった!!! 大人になったいまだって、せいぜい“またキングコング化しないよう気をつけてる”だけだと、思えて……。

 ところで、今作『キングコング:髑髏島の巨神』は、そんな感慨とは全く関係なく、超楽しいエンタメ作品です。

 キングコングVSお化けタコ! キングコングVSカマス面の大トカゲ! と出血大サービスが続き、B級好き娘の血は騒ぐ。

 中盤、登場人物が隊長(サミュエル・L・ジャクソン)派と傭兵(トム・ヒドルストン)派に分かれ、“正義とは敵とは何か?”と争うシーンがある。そこを観ていて、アメコミ映画「アベンジャーズ」シリーズの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を連想した。

 キャプテン・アメリカとアイアンマンも、別々の正義を主張し、一騎打ちになってた、と……。

 小説界では、現実社会の問題が、芸術作品よりエンタメ作品のほうに如実に念写されることが、ままあるが。映画はどうだろう? ともかく、アメリカの正義はより二分されていくのか、と考えこみながら観終わった。

©2016 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS, LLC AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED
INFORMATION

『キングコング:髑髏島の巨神』
3月25日(土)、丸の内ピカデリー・新宿ピカデリーほか全国ロードショー
http://wwws.warnerbros.co.jp/kingkong/

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