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開業55年の団地駅が“消滅”するドライな理由

開業55年の団地駅が“消滅”するドライな理由

さようなら「松原団地駅」、こんにちは「獨協大学前駅」

2017/03/27

genre : ニュース, 社会

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「団地ってなんか古臭いイメージがするでしょ。だから、駅名が変わることは大歓迎よ」

 東武伊勢崎線の松原団地駅近くで出会ったオバちゃんは、こう言った。その通り、東武松原団地駅は4月1日をもって駅名を「獨協大学前<草加松原>」へと改める。“東洋最大規模のマンモス団地”と言われた草加松原団地の入居にあわせて1962年12月1日に開業して以来、半世紀以上に渡って親しまれてきた“団地の駅”が姿を消すのである。そのワケを東武鉄道に尋ねると、「地元からの要望を受けて調整した」のだとか。ならば、その“地元”にも話を聞いてみよう。

4月1日から駅名が変わる

「昔の団地はほとんどありません」

「松原団地と言っても、建て替えが進んでいて昔の団地はほとんどありません。今はコンフォール松原という名前で高層マンション群に変わってきている。だから、松原団地駅という名前は実態にそぐわないんですよ」

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 地元で駅名変更の活動を進めてきた松原団地駅名変更協議会の中核を担った草加商工会議所から、こんな答えが返ってきた。で、実際に草加松原団地のあたりまで歩いてみれば、仰る通りに立ち並んでいるのは真新しい大きなマンション。“団地”なる言葉からイメージされる絶妙な古臭さ、懐かしさ、昭和感とはおよそ無縁な空気が漂っている。

「2009年に最初の話があったんですが、一時立ち消えみたいになっていたんですよ。それが2014年になってから協議会が立ち上がって本格的に再始動。東武鉄道さんとの協議も順調に進んで、昨年の夏に正式に駅名変更が決まりました」(草加商工会議所)

 

 特に地元住民や利用者からの反対意見もなく、むしろ歓迎する声が多かったという。変更後の駅名となる獨協大学も駅開業の2年後に開校し、“団地”と同じように半世紀に渡って駅とともに歩んできた歴史がある。駅周辺も、“団地駅”という名前とは裏腹に(?)たくさんの学生たちが行き交っていた。

「あとは草加松原が国指定の名勝地『おくのほそ道の風景地』に指定されたこともあります。指定対象のセ全域が埼玉県内にある国指定の名勝では長瀞に次いで2番め。ただ、正直なところあまり知られていない。副駅名に入れてもらうことで、PRにつながればいいですね」(草加商工会議所)