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池上 彰
2017/03/27

「勉強していないアピール」をする人の頭の中

池上さんに聞いてみた。

Q「勉強していないアピール」、なぜするの?

 いま、学生の間では「自分は勉強していないアピール」が流行っています。「こんなに勉強していなくても単位が取れた!」「どれだけ授業に出ていないか」など、勉強をしないことを自慢する風潮があります。池上さんが学生だったころも、「自分は勉強していないアピール」するカルチャーがありましたか。彼らが一体何を考えているか分からず、もやもやします。(20代・女性・学生)

A 早稲田や慶應でも同じ。ある種の含羞かもしれません。

 このカルチャーは、昔からありました。中学校や高校では、中間試験や期末試験の前になると、必死に勉強している姿を見せる生徒が結構いましたが、その反面、「勉強なんかしていない」という顔をし、それを公言していた生徒が、びっくりするほど好成績であることを知って驚いたものです。がり勉を軽蔑するような雰囲気があり、「勉強していない」という姿勢を見せることがおしゃれ、あるいは格好いいというカルチャーがありました。

 それが大学に入ると、一段と強くなりました。

 自分はいかに勉強していないかをアピールする人が増えたのです。たとえば早稲田ですと、大学周辺に書店や古書店が点在し、ここで本を買って勉強しています、という学生の姿をよく見ました。

 ところが慶応となると、教養課程の日吉ででも、専門課程の三田でも、周辺に書店の気配も見えません。最初は、「なんて勉強する雰囲気に欠けたところだ」と憤慨したのですが、しばらくすると、「勉強なんかしていない」という顔をしている連中が、実は陰で必死になって勉強をしていることを知りました。大学周辺で書店に行くなんて恰好悪いこと。こっそり神田神保町の書店街を回って参考図書を物色、というスタイルの学生が多かったのです。

 何を考えているのかわからない、と憤慨のご様子ですが、ある種の含羞だったのかもしれません。「勉強してます」オーラを出すのはダサいこと、ということだったのだと思います。

 あなたは、周囲のことを気遣う必要はありません。我が道を行け、とアドバイスします。

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