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MEGASTOPPER DOMI
2017/03/26

【オリックス】1点差ゲームに弱い。3シーズンで54勝81敗をどうする?

文春野球コラム ペナントレース2017

僅差は大差と言うがアメリカとの差は無かったWBC

 掴みかけた決勝への切符のように思えた。代打の切り札とも言える元首位打者の一打。主砲の一角が決めた送りバント。野球のセオリーとも言える一死二塁の形が完成した時、自分は既に決勝への扉が開かれたとさえ感じた。ゲッツーは無い。ワンヒットで同点。しかし、実際の世界の壁は高く、厚く、そして淡々として非情であった。筒香選手の特大外野フライに思わず天井を見上げた。そしてその後のUSAコールに沸く雨のドジャースタジアム。松田選手のバットが空を切ったその瞬間に、侍たちの戦いも終わりを告げた。

 届きそうで届かなかった1点。どうしても渡したくなかった1点。なんとしても欲しかった1点。勝負事に「もし」や「たら」「れば」が無い事は理解したうえでも、「もし」あの時とか、あれが無かっ「たら」とつい考えてしまった。そしてそれが1点差ゲームなのだろうとも痛感した。じゅうぶん満足させてくれた大会であったし侍たちの健闘は心から賞賛したいが、次回大会へ続く一欠片の悔しさも残った「良い意味で満足出来ない大会」でもあったように思う。

WBC準決勝が行われたドジャースタジアム ©MEGASTOPPER DOMI

一方で僅差は大差を思い知らされ続けるペナントレース

 実はこの1点差ゲーム。我々Bsが最も苦手とするもののひとつだ。過去から問題視されており、ここ3シーズンの合計で81試合もの1点差「負け」を経験している。2016シーズンこそ22勝24敗とほぼ五分の数字まで解消されてはいるが、鉄壁の中継ぎ陣と言われリーグ2位に躍進した2014年シーズンも、実は1点差ゲームは19勝25敗と大きく負け越していた。勝率5割を目処に戦うペナントレースであるから1点差勝ちのゲームも同数程度あれば問題はないのだが、1点差勝ちのゲーム数は3シーズンの合計で54試合。なんと3シーズンで借金27と大きく負け越しているのである。

 この事について、過去にORIX球団宮内義彦オーナーがバファローズの決起集会で言及した事があった。負けの内容に具体的に言及されるのは現場からすればたまったものではないだろうが、宮内オーナーの気持ちも察して余りあるものがある。それ程酷い数字である。

 逆に1点差に強いイメージがあるのが梶原さんが執筆する千葉ロッテマリーンズで3シーズンの1点差ゲームの合計が74勝57敗、福岡ソフトバンクホークスも73勝58敗と1点差ゲームにはすこぶる強い。

 今回のWBCしかり、大切な局面で必ず訪れるこの1点差ゲーム。ではどうすればこれを制するチームになるのだろうか。どの評論家も解説者も決まって口を揃えるのが「勝利への執念」と「ミスの廃絶」である。まぁそれはそうだろうよ。確かに正論ではある。しかし、仮にサラリーマンの職場だったとして「やる気をみせろ」「ミスはするな」ばかりを繰り返す上司が果たして優秀な上司と言えるのだろうか。我々は「ミスはするな」という言葉よりよっぽど「こうすればミスに繋がる」とか「ミスをした時のリスク回避はこうするべきだ」などを聞きたいのである。

サヨナラ勝ちをお家芸に確立しよう

 色々と考えても結論に至らないこの1点差議論。実は自分も具体的な策は何も持ち合わせていない。いや、それが分かれば誰もがペナントレースの覇者になれるのだろう。しかし根性論とミスの廃絶論を抜きに考えたうえで、ひとつだけ確実に1点差ゲームを勝利に導くものがある。それは「サヨナラ勝ち」の存在だ。9回以降「後攻が1点勝ち越した時点で試合が終了する」のだから、サヨナラホームラン以外は必ず1点差勝ちになる。「サヨナラ勝ち」が増えれば必然的に1点差ゲームを制する回数が増えるのだ。

 勿論、逆のパターン「サヨナラ負け」というものも野球には存在するが、この場合ほとんどが守護神、もしくは完投目前のエース級のピッチャーが捕まるケースなのでもうどうしようも無い。年間の内の数試合だけ守護神の「負け」が記録されても、それはもう必要経費ではなかろうか。何より、ペナントレースの半数を占めるホームゲームに於いては「サヨナラ負け」は存在しない訳で。

 卵が先か鶏が先か。1点差勝ちが多いチームだから「サヨナラ勝ち」が多いのか、「サヨナラ勝ち」が多いチームだから1点差ゲームを制すのか。いささか暴論ではあるが、2017シーズンは「サヨナラ勝ち」に期待して観戦しようと思う。「サヨナラ勝ち」がBsのお家芸になるその日を信じて。そしていよいよ始まるこの「文春野球コラムペナントレース」。自分も先ずは2017シーズンを存分に戦って行こうと意気込んでいる。

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※「文春野球コラム ペナントレース2017」実施中。この企画は、12人の執筆者がひいきの球団を担当し、野球コラムで戦うペナントレースです。