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朴承珉
2017/04/02

セウォル号引揚げ 3年間を浪費した朴政権の「罪と罰」

 3月23日未明、ついに「セウォル(歳月もしくは世越)号」が、水深44メートルの海底から、その無残な姿を海上に現した。多くの修学旅行生を含む死者295名、行方不明者9名を生んだ悲劇から、実に3年もの“歳月”が経過していた。

「朴槿恵政権は当初からセウォル号の引揚げに消極的でした。その背景には、事故直後の『大統領の空白の7時間』問題があったのは、間違いない」(現地記者)

 当日、朴大統領が対策本部に入ったのは、事故発生から実に7時間後。その間、何の情報発信もしなかったことで、国民から猛批判を浴びた。大統領府は後に「公邸で対応に当たっていた」と説明したが、この初期対応のまずさが、結果的に朴大統領の罷免へと繋がっていった。

「7時間問題に引きずられて、昨年7月の予定だった引揚げ準備作業は、2度も延期された末、気象条件を理由に立ち消えに。ところが今年3月10日に朴大統領の罷免が決定した5時間後には、担当の海洋水産部が〈セウォル号の引揚げを再開する〉と記者たちに携帯メッセージを送ってきたのです」(同前)

 遺族は、「朴槿恵が(弾劾で)降りてくると、待っていたようにセウォル号が揚がってきた。すべて蝋燭の力のおかげ」と、朴大統領罷免を求め続けた「蝋燭集会」に感謝の意を表した。

セウォル号の船首部分 ©共同通信社

 一方で引揚げ会社の選定過程ではひと悶着あった。

「技術評価で最高点を受けたのはオランダの会社でしたが、結局、それよりも600億ウォン(約60億円)安値を提示した中国の上海サルベージが落札。政府が予算削減を理由に、専門性を疎かにしたと批判の声も上がった」(同前)

 上海サルベージのバージ船はそもそも引揚げ用として設計されておらず、作業環境は劣悪だったという。

 海洋水産部の関係者は「一般船舶とは異なり、トイレもきちんと備えておらず、350人の作業員が寝泊りしながら、大変苦労をした」と述べている。

 船体に入っての行方不明者の捜索は、国会で調査委員会が承認された後、4月5日ごろと見られる。まもなく事故から丸3年となる4月16日がやってくる。

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