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報道陣も「マジか」 監督解任の危機を脱したハリルホジッチの大バクチ

「非常に美しい勝利」とご満悦 ©共同通信社

 3月23日、ロシアW杯アジア最終予選に挑むサッカー日本代表は、敵地でUAEを2対0で撃破した。試合直前にキャプテン、長谷部誠がケガで離脱するなど、緊急事態の中で臨んだ1戦だった。

「監督は長谷部の代役として、2年ぶりに代表復帰した今野泰幸(34)を先発で起用。これがズバリ的中しました」(サッカーライター)

 今野は守備で相手のチャンスをことごとく潰し、追加点まで挙げるMVP級の働き。

「さらに驚かされたのは、GKに川島永嗣(34)を起用したことです。川島先発を知った報道陣が、“マジか”とザワつきました」(同前)

 というのも、川島は所属するフランスのクラブでは、今季1試合しか出場しておらず、代表でも昨年6月以来出番がない状態だった。

「試合勘が心配されましたが、前半20分に相手の決定的チャンスを身体を投げ出して防ぐビッグセーブをみせ、チームを救った」(同前)

 もしこの試合に敗れていたら、「実は、監督解任は濃厚だった」とベテランのスポーツライターは述べる。

「監督は『クラブで試合に出ている選手を呼ぶ』と公言してきましたが、今回、試合に出ていない川島や本田圭佑を招集したことで、批判の声もあった。監督もかなりピリピリしていましたが、そうした状況で大博打に打って出て、勝った。最終予選のターニングポイントです」(同前)

 今回の采配には、ハリルホジッチ監督の“方針転換”が垣間見えるという。

「これまでは若手重視の起用でした。それが今回のメンバー発表の席で『最近の試合で若い選手を何人か呼んだが、メンタルの準備が出来ていないかもしれないと感じた』と不満を口にした。最終予選の修羅場では、ベテランの経験を重視する方向に舵を切ったようです」(同前)

 そういう目で見ると、昨年JリーグMVPを獲得した中村憲剛(36)やJリーグ最多得点記録保持者の大久保嘉人(34)なども、代表候補に入ってくる可能性がある。

 イビチャ・オシム元日本代表監督は、かつてこう語った。

「古い井戸に水が残っているのに、すぐに新しい井戸を掘るのはいかがなものか」

 何が起こるかわからない最終予選。経験という「古井戸の水」が求められている。

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