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鈴木 涼美
2017/04/26

退職後にやりたいことがありすぎる人のための、目標設定のしかた

鈴木涼美さんに聞いてみた。

Q 退職後、やりたいことがありすぎて困っています

 ささやかな夢に取り組む実行力が乏しい、そんな自分をなんとかしたいのですが、やりたいことがありすぎて、一つのことに集中できず、何事も中途半端な状態で達成感を味わったことがない。まして、つい最近長年勤めていた職場を退職したばかり。これからは時間はたっぷりあるというのに、夢は膨らむばかり。なんとかささやかな夢を少しでも多く叶えられる方法はないものでしょうか。(67歳・男性・無職)

A 集中力散漫っぷりを活かして、目標設定を変更しては?

 趣味が充実している、という人にも色々な種類がいて、学生時代から一つのスポーツに取り組み、休日はその試合や若いプレーヤー育成に励むタイプの人もいれば、別にどれもすごく極めているわけではないけれど、スキューバやスノボからバイオリン、語学まであらゆるものに手を出している人もいますよね。それぞれ、ささやかな夢はあるだろうけど、別にみんなそうそう叶えてはいないと思います。

 一つのことに集中できないのが悩みとおっしゃっておられますが、その集中力散漫っぷりを活かして、例えば何でも手を出すこと自体を自慢にするのはいかがですか?私が水商売のバイトをしていた頃、とても面白いお客様がいました。彼はゴルフもスキーも、やったことはあるけどいまいち好きになれず今では全くやっていないという方で、他にも陶芸、書道、小説執筆、短歌から、大学院やお料理、ヨガまで色々なことをとりあえず始めてはそれほど極めるわけでもなく、会うたびに「今はこれにハマっているんだよ」と違う話を持ってくるんです。

「いや、陶芸はやっぱりダメだ、これからはヨガなんだよ」

 一つの見方としては彼はどれも中途半端で極めることができず、あれこれ手を出してはすぐに投げ出すダメな人かもしれませんね。でも、彼は明るく「いや、陶芸はやっぱりダメだ、これからはヨガなんだよ」なんて言っています。結果、女の子の間では大人気で、次にあの人がハマるのは何だろう? なんてみんなで予想して楽しんでいました。そして、誰かが何かの話をすると、どの話にも乗っかれる。「ああ、僕も昔ピアノをかじったことがあってね」とか「ああ、日本近代文学についてはちょっと大学院で勉強したことあるんだよ(実際受講したのは二回)」など。

 私は彼の余暇の過ごし方も、立派な趣味人だと思いました。野球や俳句などをずっと続けている人も素敵ですが、もう中途半端でもいいからあらゆることを経験しているという人も素敵です。夢が膨らむばかり、とおっしゃるのを聞くと、色々なことに興味がわく方なんだろうな、と感じて、そのお客様のことを思い出しました。彼も、いちいち新しいことに目移りしてはささやかな夢を抱いていたと思いますが、別に始めてしまえば当初の目標を達成しなくとも悲観せず、また次の夢に目移りしていました。

月1で会う飲み仲間やホステスを作って、違う趣味を話すとか

 夢なんてない、という人がたくさんいる中で、夢は膨らむばかりという言葉が出てくる時点で、とてもポジティブな方のように思います。目標達成にこだわらず、話のネタとしてでも色々なことをしていていいと思います。達成感という意味では、例えば月に1回会う飲み仲間やホステスを作って、その人に会うたびに違う趣味を紹介する、という、発想を転換した目標設定にしてみてはいかがでしょうか。そうすれば、中途半端に色々やってしまうことに何の劣等感も感じなくなると思います。

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