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大阪桐蔭と履正社。大阪を制するものが全国を制する理由

「明日からは夏の山を登る」と語った西谷監督 ©共同通信社

 4月1日、史上初の「大阪勢対決」となった春のセンバツ高校野球決勝。大阪桐蔭が8対3で履正社を破り、5年ぶり2度目の栄冠に輝いた。

「大阪桐蔭は、昨秋の大阪府大会準決勝では履正社に敗れています。勝った履正社はその後、神宮秋季大会を制しており、まさに“大阪を制するものが全国を制す”。15年には、この両校が大阪地区大会の初戦で激突し、“事実上の甲子園決勝”と言われました。府内でのこの熾烈な戦いがレベルを底上げしてます」(スポーツ紙デスク)

 なぜ大阪勢は強いのか。

「まずリトルシニアやボーイズなど少年硬式野球チームが東京の倍はあり、小中学生世代の育成システムがしっかりしてます」(同前)

 一方で、少子化とサッカー人気の影響で、小学校1クラスで野球をしているのは、ほんの一握りとも言われる。

「だからこそ、貴重な野球小僧を大事に育成している。ちょっとでもいい素材は、はやくから目をつけられ、中学生になると“隠れた逸材”なんていません。とくに大阪の場合は、選手発掘のスカウトの網の目が非常に細かい印象があります」(同前)

 さらに高校野球関係者が口を揃えるのは、大阪出身の選手たちの“逞しさ”だ。

「彼らは、ただ甲子園に出たい、とは思っていない。『目立って何ぼ』と口にします。甲子園に出て、活躍して、勝ってこそプロのスカウトに自分をアピールできると思ってるんです」(ベテラン記者)

 大阪のエリート野球少年にとっての甲子園は、野球で食べていけるか否かを賭けた「就活の場」でもあるのだ。

「今回優勝した大阪桐蔭は全寮制で、大阪のみならず、全国から選手を集めています。とくに西谷浩一監督は、シニアの試合にもマメに足を運び、全国にスカウト網を張り巡らしている。そうやって声をかけられて大阪府外から来る選手は、絶対プロになるという意識が高く、ハングリーな大阪出身の選手たちと切磋琢磨するから、チームが強くなるんです」(同前)

 ベテラン監督が指摘する。

「今の高校野球では試合中のタイムの回数制限があるので、ベンチワークで選手をコントロールするのは難しい。昔以上に選手の自主性や、やる気がないとダメなんです」

 大阪の天下は続きそうだ。