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「天皇の理髪師」が語る、商品説明にも載っていない正しい育毛剤の使い方

「点」ではなく「線」で塗る。ハゲ進行を食い止める簡単な方法

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 親子三代にわたる「天皇の理髪師」として、10年にわたり天皇、皇太子の御理髪掛(ごりはつがかり)を担当した大場隆吉氏は、日本でいちはやく頭皮ケアに注目した専門家の一人だ。

 大場氏が代表を務めるOHBAの頭皮診断の実績は10万件を超え、頭皮のケアは薄毛予防だけでなく、美容や健康に役立つとして、独自の「触れ方」と理論に基づいた頭皮ケアを提案している。大場氏に、育毛剤の選び方、正しい使い方を聞いた。

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抜け毛が多い日は、毛の太さ・長さを観察しよう

大場隆吉氏 ©釜谷洋史/文藝春秋

 春は、ストレスや不眠・生活環境の変化により、抜け毛の多い季節です。

 シャンプーの時に排水溝に溜まった抜け落ちた髪の毛を見て、このままハゲたらどうしようと不安になることもあるでしょう。

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 でも、そんな時こそ、抜けた髪の毛の量ではなく、抜けた髪の毛の長さと太さを観察してみてください。

 抜けた髪が、今生えている髪とほぼ同じ長さや太さであれば、「自然のサイクルで抜けた髪の毛」です。もし、とても短くて細い髪の毛だったら、「自然のサイクルではない抜け毛」の可能性があります。髪が十分に育つ前に抜けているということですから、薄毛対策を考えましょう。

育毛剤を振りかけるだけで満足していませんか

 頭のてっぺんや額の毛量にもの足り無さを感じている人に多いのが、「一本でも髪の毛が抜けるのが嫌だから、シャンプーをせず、育毛剤だけを振りかけている」パターン。これはやってはいけません。

 頭皮、特に抜けやすい頭のてっぺんや生え際は、髪の毛の栄養となる血液が届きづらく、栄養不足に陥りやすいため、抜け毛になりやすい場所です。

 心臓から流れる血液の長い旅の果てが、頭頂部。

©文藝春秋

 しかも、頭頂部には血液を送り届ける「ポンプ」となる筋肉がなく、「帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)」という筋膜で覆われているため、手で優しく触れ、動かしてあげないと血液が行き渡りにくいのです。ジョギングしても、ヨガをしても中々動かないのが、頭頂部なのです。

 だから、頭頂部や生え際が一番抜けやすい、ハゲやすいのです。

 もうお分かりですね。

 頭のてっぺんまで、せっせと毎日血液を届けてあげるように意識して動かしてあげれば、一番の薄毛対策になるのです。

 シャンプーは、頭皮を動かす最適な時間です。育毛剤だけに頼らないで、正しく触れてあげる習慣をつくりましょう。