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横田 増生
2017/04/13

ヤマト当日配送見直しで、アマゾンに残された3つの選択肢

潜入記者の視点

ヤマト従業員の負担は軽減されるか 横田増生撮影

 4月になってもヤマト運輸を巡る問題がメディアを賑わせている。4月7日には、アマゾンの当日配送から撤退すると報じられた。

 ヤマトが取り扱う年間約19億個の荷物のうち、アマゾンは3億個前後、2割近くを占める最大手の取引先である。

 アマゾンの当日配送の多くは、ヤマトで“3便”と呼ばれる夕方の便で大量に運び込まれる。午後5時過ぎに仕分けされれば、配達の残り時間は4時間を切る。

 私は、ヤマトで“潜入取材”した経験があるが、ドライバーから、アマゾン顧客の不在率の高さや、受け取りのマナーの悪さなどの嘆きの声をよく聞かされた。

 だが、アマゾンから支払われる運賃は日本一と言っていいほど安い水準にある。ヤマトの平均単価は570円台とされるが、アマゾンは300円を切るといわれる。損益分岐点ギリギリの運賃水準だ。

 ヤマトは労基署の是正勧告を受け、ドライバーを含む7万人超の従業員への未払い残業代の支払いに着手している。総額で数百億円といわれる残業代を支払えば、利益率が大幅に下がることは必至だ。

 追い込まれたヤマトに、当日配送見直しを迫られたアマゾンの対策は3つ考えられる。

 まずは、ヤマトに支払う単価の値上げだ。だが、利益を押し下げ、他の通販業者との競争にもマイナスになる。

 もう1つは、他社への乗り換え。業界3位の日本郵便が埋めるという話も出ているが、現在の取扱個数が5億個超。アマゾンの荷物全部を取り扱うことになれば、すぐに“パンク”することは目に見えている。

 第3の選択肢は、アマゾン自前の宅配網の構築だ。だが、これは現実的ではない。私がアマゾンで働いた2003年時点でも、物流センターの運営は日本通運に任せていた。その体制は、物流センターの数が10カ所以上に増えた今でも変わらない。

 アメリカでは、航空機やトレーラーなどを購入して一部の物流機能を自社化している。しかし、日本法人は、業務を開始した2000年以降、宅配を含む物流業務を一貫して外注してきた。

 日本の優れた物流網に乗っかりビジネスを拡大してきたアマゾンジャパンは今、岐路に立たされている。

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