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古森 義久
2017/04/15

トランプの“頭脳”バノン氏解任 当選の功労者はなぜ外されたのか

共和党議員からも反発を受けるバノン氏 ©共同通信社

 トランプ大統領の最大の「頭脳」とも呼ばれた首席戦略官スティーブン・バノン氏が4月5日、国家安全保障会議(NSC)の幹部会議から外された。バノン氏は大統領選では選対本部長として活躍、トランプ氏当選の最大功労者の1人とされた。その結果、新政権では前例のない「首席戦略官」という大統領最側近のポストに起用された。

 そして1月末に、NSCのなかでも閣僚級14人ほどで構成する同幹部会議の常任メンバーに任じられた。国内政治が専門の同氏をあえてその任に就けるトランプ大統領自身による異例の人事だった。

 結局、それから2カ月余りで、就任時と同じく大統領令により常任を解かれたのだから、波紋は大きかった。

 解任の背景にはバノン氏と大統領の娘、イヴァンカ氏の夫で上級顧問を務めるジャレッド・クシュナー氏との対立があるとされる。一部メディアは、バノン氏の退任の可能性までも報じ始めた。

 ホワイトハウスはこうした報道について“反トランプ・メディアによる攻撃で、根拠はない”と否定し、バノン氏自身も「私の任務はNSCがオバマ政権のように政治利用されないよう確実にすることで、その任務はもう果たしたからだ」と説明した。

 だが、トランプ政権内で、超保守の政治論客(イデオローグ)であるバノン氏と、より柔軟なスタンスのクシュナー氏の意見が対立する場面が多いことは確かなようだ。

 バノン氏が主宰していたネット・メディアの「ブライトバート・ニュース」は、クシュナー氏の主張を「民主党リベラル派に近く、トランプ主義に反する」と非難している。

 また、バノン氏が常任メンバーから解任された直後には、シリアへのミサイル攻撃を決定したNSCの会合があった。実はこの会合にはバノン氏も出席したのだが、“対外関与拡大”に反対するバノン氏と、攻撃賛成のクシュナー氏らが衝突したという。

 一方で、イスラム系国家7カ国からの入国制限措置で批判を浴びたことや、オバマケアの撤廃と代替の法案提出で挫折したことについて、大統領自身がバノン氏の責任を問題にし始めたという報道もある。今回の解任劇で、政権内の権力闘争が激化していく可能性もある。

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